第弐拾漆幕の拾壱
報道は話をややこしくする元凶。
あおいたちも向かってくるフィーユソルダを倒してP&L本部を目指すが、倒しても倒しても次々わいてきていた。
「あんたたちのことだから来ると思ってたの! どこまで耐えられるかな!」
「……これじゃ近づけない!」
「守ってばかりじゃ進めないし、どうすれば……」
引き続き比奈はモバイルバッテリーをつないだスマホで内部を撮影し続け、ずっと実況していた。
「現場の菊池です! 只今女だけの国では振袖小町とP&Lの兵隊が……」
「面倒なのがいた……あんたたち! 全員撤収!」
号令でフィーユソルダは持ち場に戻る。かぐやは比奈の前に赴き、スマホを奪い取る。
「あーあー、P&L、ナフ・ヴァルキリーの一人、上野です。この国で我々と振袖小町の対決を、あちらのP&L本部にて行います。日時は追って発表いたします」
大胆な宣言を行い、スマホを返す。
「聞いてた? じゃ、本部で待ってるから」
帰還していく背に向かい、ひかりは尋ねた。
「なんでこんなことを? まるでボクたちに姫を……」
「……待ってるから」
ひかりはこれまでに幾度となく見てきたそこはかとなくどす黒い感情が見え隠れする表情を浮かべて去って行った彼女に、あおいやアイリスすらも戦慄していた。
「振袖小町の皆さん、ちょっとお時間いただいてもよろしいですか?」
比奈が思い切って振袖小町にインタビューを敢行する。あおいとアイリスは逃げようとしていたがひかりが応対してしまっていた。
「大胆な宣戦布告でしたがどう受け取ってますでしょうか?」
「はい、決着をつけたいと思っています」
「では私も本部まで同行させてもらっても大丈夫でしょうか……?」
「いいですよー」
軽いノリで許可したことに二人は絶句していた。
P&Lから振袖小町への宣戦布告があったことを配信から知ったキマとティーガーも裏道を進みながらP&L本部を目指していた。
「ちょっと、あんたの想い人がどこにいるかわかんないの?」
「俺は警察犬じゃねえ」
「試してみる価値はあるんじゃない?」
「……しょうがねぇな」
ティーガーは立ち止まり、さくらを頭に浮かべ感覚を研ぎ澄ます。嗅覚が反応している方向に体を向ける。感覚を聴覚に集中させるため目を閉じるとうっすらと彼女の声が聞こえてきた。
「あっちだ!」
ティーガーは目を開き彼女がいる方を指す。冗談半分で言ってみたことなのに本当にできてしまったことにキマは愛ゆえの奇跡なのか、それとも別のものなのかと困惑を隠せなかった。
愛の力は時に想定を越えますが、本当に一途だねぇ……。




