第弐拾漆幕の玖
ごまかしてても気づかれる時はいずれ来る。
「……そろそろ時間か」
ロンが席を立ち、外出する。その背中をセルペンテ、ゴーダ、スキロスは不安そうに見送った。
「あいつ、大丈夫か? やっぱり後付けてった方が……」
「そんなことしてみろ、卑怯なことが嫌いなあいつのことだから怒られっぞ? それにあいつは一人でも十分強い、大丈夫だろ」
「ですが、カルネロのことですから何かあるに違いありません、行ってきます!」
「あ、俺も!」
セルペンテとスキロスは慌ててロンの後を追った。
「フットワークが軽いといえば聞こえはいいが、若気の至りにならなきゃいいがな……」
二人を見送った後にロンが淹れた紅茶を一口飲み、ゴーダは舌鼓を打った。
「たまには紅茶もうまいな。ロンが淹れるやつに……アルコールは合わねぇな」
水と食料が不足しているこの地に長居するのは得策ではないことを悟っていると、自分たちと同じ服を着た人物とすれ違う。本物のフィーユソルダだ。
「……ここは私の持ち場だけど?」
「今移動中で……」
あおいがなんとかごまかそうとする。
「……あら? その手首……」
手首に目を向けられる。本来フィーユソルダはブレスレットを装着し、そこから身体能力向上や武器となる銃が手元に出てくるようになっていた。だが今はそれを破壊して元の持ち主から服を拝借して重ね着している状態のため装着していないことに気付かれてしまった。
「まさか、お前たち!」
「逃げろ!!」
大慌てで逃亡する振袖小町、撒くことには成功したが土地勘のない場所を一心不乱に逃げていたことからバラバラになってしまった。
女だけの国の裏道。あおい、アイリス、ひかりは合流できたが表通りではフィーユソルダがパトロールしており出て行ってさくらたちを探すことができなかった。
「どこ行ったんだろう……」
「イナリちゃんがさくらちゃんかかりんちゃんと一緒にいてくれたら合流できそうだけど……」
「見回りがいなくなったみたい! 行ってみよう!」
表通りに飛び出し、しばらく歩いていく。するとひかりは背後から気配を感じ、飛んできた輪を鋭刀・白銀ではじき返す。
「……気づいちゃったの? 肩叩かれて振り向いたらいっつも指差されてたくらいどんくさかったのに」
「……かぐや……!」
ここで会ったが何回目かはもはや数えていないが、宮本武蔵と佐々木小次郎、武田信玄と上杉謙信のごときライバル関係が続く二人がまたも顔を合わせる。あおいとアイリスが前に出ると、白けた表情に変わる。
「あんたたちには用はないの。こいつらの相手でもしてな!」
物陰からフィーユソルダが現れ、銃撃を開始する。もうこの姿をしている意味はないと地上で拝借した黒装束を脱ぎ捨て、銃弾を回避しつつかぐやに近づこうとあおいたちは駆ける。
かぐやのエグい執念深さはどこに行きつくのか。




