第弐拾漆幕の漆
ヒールから見たヒール。
さくらたちが向かっている目的地の某所で、一人の少女と本来のこの地域の街並みに合う雰囲気の人物が気配を殺しながら散策していた。
「悪い意味で女って感じの嫌な空気しかしないわ」
「同感」
「で、あんたはけりをつけるつもりでここにいるのよね?」
少女は小さくうなずくと、視線の先を指差した。その先を見たキマは思わぬ相手の顔に口をポカンと開けてしまう。
「あら、あんた!」
「……!!」
視線の先にいたのは、ティーガーだった。
「キマ、ラパン、お前らもあいつらをぶっ潰しに?」
「姫を倒すって観点なら同じよ。でもあんたは違うのよね、ラパン?」
「みんなを助けに来た」
「みんな? ……そういうことか」
以前事務所に置かれていたアルバムのジャケットを思い出す。世間一般からすれば「因幡卯月が昔いたグループのその他大勢」でしかないが、本人にとってはかけがえのない仲間たちだった。
「ところで、結局のところ姫って何者なのよ? どうにもあんたは訳知りみたいだけど」
キマが疑問をぶつけてきた。
「あの女は……」
苦々しい顔でラパンが話そうとする。だが……。
「お前に用がある相手がいるみたいだぞ」
ラパンが顔を向ける。
「卯月、ここで会えるなんて助かるよ」
かつての仲間がお目見えした。敵対心は見せていないようだがラパンは警戒を解かなかった。
「私が今やりたいことはあなたたちと同じ、どう、手を組まない?」
彼女は右手を差し出してくる。
「いいの? あの子これまでもけっこういろいろやってるみたいよ?」
「大丈夫、もしあの子が本気だったら振袖小町はとっくにやられてるから」
仲間を信じたラパン、もとい卯月は彼女の手を取る。ティーガーとキマもついていこうとするが止められてしまう。
「今はその時ではありません。どうやらこの戦いの最大のキーパーソンがここに来ているようですから、合流してください」
最大のキーパーソン、その言葉にティーガーはニヤリと笑い承諾した。キマは良くも悪くもぶれない姿勢の彼に呆れていた。
敵側から見ても許せない敵がいるって熱いよね。




