第弐拾漆幕の陸
形だけとはいえ口に出したくない言葉ってあるよね。
ブレスレットが破壊されてフィーユソルダは一人残らず倒れる。気絶している彼女たちを見て、あおいが問題解決への奇策を思いつく。
「みんな聞いて! ……!」
「それなら!」
「さすがあおい!」
「よっ、知恵の戦士!」
みんなから褒められてあおいは照れ笑いする。さくらが夕香里たちの待つ医療施設へ向かったかんなに状況を説明すべく連絡を取る。
「もしもし? かんなちゃん?」
「おけまる! これでもう問題ないね!」
電話を切った後、運転しているエリーと同乗している蓮は障壁がなくなったことに手ごたえを感じる一方、さくらたちが自分から離れ戦場に向かうことに不安を覚えていた。
エリーが運転する車が到着し、振袖小町の前に停車。運転席のドアが開いて彼女が降車する。
「お待たせいたしました、こちらが会員証です」
エリーは5枚の会員証を一人ひとりに1枚ずつ手渡す。さくらたちは今着ている服の上にフィーユソルダが纏っていたVRゴーグルと黒ずくめの顔と体のラインが隠れる衣服を身に纏っており、会員証を受け取った後にそれをもともと着ていた薄着の少女たちを引き渡す。イナリは視覚では誰かわからない状態の5人の中から嗅覚を生かしてアイリスの胸元に飛びついた。さくらとあおいとかりんからは顔にかぶった布を通して怪訝な視線が飛んできたが、知らないふりをした。
「これで準備完了だね」
「でも……あれ言うの……?」
「パスワードみたいなものとはいえ、ちょっと……」
心にもない言葉であるがゆえに言うのを躊躇するかりんとひかりの手が握られる。全員同じ服で顔も布で隠れていたため誰なのか一瞬わからなかったが、声を聴くとさくらだとわかった。
「大丈夫、私たちみんながいるから!」
その一言にかりんは安心し、ひかりは空に浮かぶ女だけの国を見て改めて決意を固める。
「(かぐや、決着を付けよう……!)」
全員の気持ちが一致したことをアイコンタクトで確認し、全員揃って渡された会員証を空に掲げた。
「「「「「For my princess! For my princess! For my princess!」」」」」
全員が心を無にして、幼稚園児や保育園児が発表会で歌を歌う時のように大声で叫んだ。次の瞬間、会員証が光り出して彼女たちの体が少しずつ浮かび上がり始めた。入国審査が通った瞬間だった。
「頑張れよー!」
「無事帰ってきたら打ち上げしようねー!」
飛んでいく5人と1匹を地上から蓮とかんなが激励する。
「オッケー!」
「おいしいもの食べたーい!」
「食べ過ぎない程度にね?」
「カラオケの予約、よろしく!」
「おけまるー!」
見た目こそ違えど普段の彼女たちらしさに、ここまで緊張し続けていた蓮は表情を若干軟化させていた。
どんどん小さくなっていく彼女たちの姿が完全に見えなくなってから、かんなが蓮に声をかける。
「大丈夫、さくたちが姫に負けるわけないし、あんな馬鹿みたいな考えに同調なんてしないから!」
「……そうだな」
女だけの国で待つのは一体何か……!?




