第弐拾漆幕の伍
迷惑系配信者とかいう令和の粗末に扱えるモブ。
統治者である姫は本部の地下にある監禁室に足を運んでいた。ここに二人、両手両足に機材をはめられて身動きできない状態にされている人物がいた。
「あなたたちの頑張りがこの国になくてはならないの。だから頑張ってくれる? いいわね?」
「「はい、我が姫……」」
か細い声で返事があった。定期的に見回りに来ていたひなたによって必要最低限の食事こそ与えられてはいたが彼女たちは体の自由が奪われたうえにろくに眠ることすら許されない状態で既に数日過ごしており、肉体的にも精神的にも摩耗していた。
「入国したいけどまだできてない子はかなりいる。でもこの国土に全員がいられるようにするにはもっと大きく強くしていく必要がある。それは今いる子たちじゃできない。それなら……」
拘束済みの相手に背を向けた彼女の恐ろしい野望は、空席の拷問装置に置く新たな対象を見出していた。
「いいじゃないですか、今は日本の危機なんですよ?」
「日本の危機? 私は姫が作り上げた国の国民になるからそんなことは関係ありません」
救助作業が終わると、男女がもめている声が聞こえてくる。中から抗議活動を行おうとするために、一人の配信者が入国当選者からカードを奪おうとしていた。止めたいのはやまやまではあるがどちらの味方をするのも気が引けると躊躇していたところに、上空からフィーユソルダが降りてくる。
「な、なんだ!?」
彼女たちは彼を囲み、殴る蹴るの暴行を加えてくる。あっという間にリンチ状態に陥った。
さすがにこれには黙ってみていられない、とさくらとひかりが割って入る。
「逃げてください!」
「ひ、ひぃ~!!」
振袖小町に促され、ボロボロになった配信者は命からがら逃げ出し、信奉者もその場を離れる。アイリスが銃弾の雨を土の壁で防ぎ、その間に彼女たちのブレスレットをあおいが貫き、かりんが射抜き、さくらとひかりは斬った。
難を逃れた信奉者の女性は、助けてくれた振袖小町には一瞥もくれず財布から会員証を出してそれを天高く掲げた。
「For my princess! For my princess! For my princess!」
目をギラギラと輝かせた彼女の体が浮かび上がり、そのまま上空にある女だけの国に向かっていった。否応なしに視線が向く方法を目の当たりにしたうえに信心も試されるものだったことに振袖小町、特にかりんとひかりはドン引きしていた。
迷惑系配信者とカルト信者、ある意味最低のほこたてでしたね……。




