第弐拾漆幕の肆
今日は救助だ出動だ。
多くの女性、と言ってもほぼ10割が姫の信奉者でにぎわう「女だけの国」。店員がおらず商品が補充されなくなって久しいコンビニの前で二人の信奉者が世間話を繰り広げていた。店の前にあるゴミ箱は中身がパンパンで、周りには中に入りきらなかった空っぽのペットボトルや食べ物の空き容器が無造作に置かれていた。
「この国こそ、この世界の楽園よね!」
「あとはクソオスをこの世から滅ぼすだけね! そうすれば差別も犯罪もこの世から消える!」
道端にゴミが転がっているのが目立ってきてはいたがきっと誰かが片付けてくれるだろう、そう信じて疑わずに彼女たちは女だけの国を満喫していた。
現場に入ることのできた報道機関は皆無だったが、実情を映し出して外部に知らせることに成功していた人物が一人だけいた。
「現場の菊池です、女だけの国は今ゴミがたまってます……」
テレビ局のレポーターである菊池比奈がP&Lの横暴を許しては置けないという正義感から個人的判断で単身P&L本部に直撃取材を敢行しようとしていたところ浮上の瞬間に領地内に踏み入れており、スマホで動画を撮りながら中でありのまま今起こっていることを配信していた。
女だけの国直下の、国土にされて大穴の開いた現場に振袖小町は到着していた。あおいを除く4人は、落下したヘリとそのパイロットを探すために穴に降りる。火の力でさくらが灯りをともし、落下の瞬間を目撃した木の根からかりんが情報を得て、金属でできたヘリの気配をひかりが辿る。
幸いにもヘリは地上付近の浅い場所に落下しており、発見直後に両手に剛拳・山吹を装備したアイリスが息も絶え絶えだったパイロットごと持ち上げて救出し、地上に出る。そして一人外に残っていたあおいがあらかじめ呼んでいた救急車に彼が乗ったところを彼女たちはそろって見送った。
「そういえばアイリスは土の振袖小町だけど、この穴を塞げるくらいの土を出すことはできないの?」
ひかりがふと思い浮かんだ疑問をぶつけてみる。
「うーん、さすがにそこまでは……。小さな壁とかを生成するくらいの量ならできるけど、あの大きさじゃ仮にできても私の命が危ないかな」
自分が他の振袖小町の能力を吸収して使っていた時を振り返り、肉体的負担の大きさを思い出す。それと同じことが起こると考えれば振袖のカケラを持っているとはいえ、神ではないから全能ではない事を改めて感じていた。会話を聞いていたあおいはある事実に気付く。
「待って、それって……!」
振袖小町はエリーの到着が早くなることを今か今かと願った。
高潔な振袖小町と低俗な信奉者、対照的ですね。




