第弐拾漆幕の壱
女だけの国、爆誕。
世界最大の同人誌即売会「コミックマルシェ」を利用して何十万の規模の人々を混乱と恐怖に陥れ、彼らが害悪であることを世界に知らしめようとしたP&Lだったが、逆に彼女たちこそが悪行を働いていることが彼女たちが起こした都内中心地の土地が浮上して一つの国家を建立したことと同時に世界中に知られてしまう結果となってしまった。
コミシェの翌日、P&L本部の前に姫が立ち、ひなたとかぐやを侍らせた状態で配信を開始する。全世界に向けて姫が指導者として君臨する国家が日本から独立、及び建国宣言がなされた瞬間だった。
「この世界の全ての女性たちに告げます! 我々P&Lは女性だけの国を実現すべくこの地を領地とし、独立国家の建国を宣言いたします!」
TV、PC、スマホ、そして街頭モニターといった世界中のありとあらゆる映像を映す機械がジャックされ、建国宣言が強制的に流される。映像の最後には、白地にPと&とLの文字を1本のピンクのリボンに見立てた国旗が本部の屋上に建てられ、たなびいていた。
物理的に土地が奪われ、独立国家を領地の上空に築かれてしまった日本政府は対応に追われていた。姫の信奉者の一人であると同時に共民党所属の議員でもある亀井香菜子は先日の一件で炎上こそしたものの議員の座は辛うじて保っており、国会で理性的とは到底言えない口ぶりで独立を擁護していた。言うまでもなく他党はもちろん彼女を除く共民党の議員の態度は冷ややかで、役所総理大臣は国家元首として一方的な独立宣言は認めない方針を崩さなかった。
それだけではなく、物理的な損害が出ていることもまた事実。もともとP&Lの本部が入居していたビルを中心に半径1㎞の範囲にぽっかりと大穴が開いてしまい周囲は通行止め、交通はもちろん電気やガス、水道といったインフラにも支障が出て、信奉者ではない一般の人々からのP&L、主にそのトップである姫への不満は増していった。
「遂に、私の理想への大きな一歩が……!」
P&L本部にある自室で、姫はグラスに注いだワインを味わいながら自分が治める国を見下ろしていた。そこに、ひなたがやってくる。
「姫、宜しいでしょうか」
「何? 手短に済ませてちょうだい」
ひなたが姫の部屋に入り、用件を伝える。
「適当にあしらっといて」
「……はい、我が姫」
ひなたが部屋を出た後、プロペラ音が聞こえ始める。だんだんはっきりと聞こえてきたかと思いきや、突如聞こえなくなった。
「通すわけないじゃない」
地上から浮上した際に境界線にあった部分に張られていたバリアに阻まれたうえに視認もできず直撃したのである。
墜落したヘリコプターはパイロットごと姫が建国した「女だけの国」の直下にできた大穴に落下した。もちろんこれも大きなニュースとして世界中を駆け巡った。
人災まで起きてる、世界規模の大ピンチ発生。




