第弐拾陸幕の拾漆
残された時間は短い。
P&Lのメインコンピューターの白いランプが消灯、9つ点灯していたランプも半分が消灯していた。だが姫の表情には余裕すら見られていた。
平和が訪れた会場で全員集合すると、かりんだけは振袖小町の姿のままだった。
「かりんちゃん?」
疑問を抱いたさくらにかりんは答える。
「これなら大丈夫、もしもの時を考えて……」
彼女曰く、戦いが始まる前にあらかじめ更衣室で自作の衣装に着替えておき、そのままコスプレ広場に行けるようにしていた。その証拠に手首にリストバンド型参加証があった。コミシェの残り時間も少なくなってきた。特に買い物の予定もない彼女たちはみんなで広場に行くことにした。
その道中、あおいがさくらに声をかける。
「……さくら、もし好きになった人ができてもせめて高校を卒業するまではキスだけは絶対にしちゃダメだからね」
「? どういうこと?」
言っている意味が分からなかったさくらは聞き返す。するとあおいは信じられない表情をして言葉を続けた。
「だって……赤ちゃんできちゃうんだよ!?」
つい声が大きくなってしまった。さくらは頭脳明晰ながら異性への耐性がないに等しい彼女の事を常々心配していたが、まさか新しい命ができるまでのメカニズムに対して小学生のような誤解を未だにしているとは思わずずっこけてしまった。
実際彼女は保健の時間では教科書の男女別の体のつくりを取り扱うページを直視できないのは序の口で授業がそういう内容に入ると毎回気絶してしまう、つまり内容が頭に入らないまま今日に至ってしまったのがこの発言が出てくるまでの道のりだった。
「……あおい、それ他の人には絶対言っちゃダメだからね」
さくらからの警告の真意がわからず疑問を覚えながらもひとまず従うことにした。
短時間ではあったがコスプレ広場でかりんはたくさんの人に撮影され、知り合いのコスプレイヤーとも会うことができて満足、他の面々も知ってる作品のコスプレを見かけて一緒に写真撮影をしてもらえたことにコミシェらしいことが初めてできたと感じていた。
元カノが中3にして子供ができるメカニズムを分かってませんでしたが、高2で知らないのはさすがにヤバいですね……




