第弐拾陸幕の拾肆
振袖小町を助けに愛すべき悪が見参。
「誰!?」
ベラドンナロボの足が止まる。声の主は最寄り駅である東京ベラドンナ駅に向かう通路近くに立っていた。
「バレーショ男爵!?」
バレーショ男爵の衣装に身を包んだ大門だった。
「そこのロボットに乗っている悪党ども! 貴様らの悪行、地獄から見せてもらった! しかしそのやり口、あまりにも目に余る! 本物の悪の流儀を教えてやるため私は蘇った!」
当時と一切変わらぬその姿には本当に帰ってきたかのように錯覚するほどだった。
「そして、振袖小町といったな! 今は貴様らが悪と戦っていると聞いた! 正義の味方など私の柄ではないがそれ以上にこいつらのやり方が気に食わん! 私も力を貸そう!!」
「はい!」
幼少期の彼にかっこよさを感じていた記憶が脳を駆け巡ったさくらは、大門が仰々しく名乗った隙を見てロボの体をひょいひょいと跳んで登って行った。彼のすぐ近くにカメラマンと音声も立っていたことから分かる通りこの光景は生中継で放送されており、テレビ局が正しいメディアの在り方を見せていた。
バレーショ男爵の登場には会場全体、特に特撮ファンや当時べジレンジャーを見ていた層が湧いていた。人々は全員スタッフの指示に従い、一人残らず中で振袖小町の勝利を信じていた。
「皆さん! 振袖小町を信じましょう!」
「皆さんの愛は悪党なんかに負けないですよね!?」
スタッフの声に歓声が上がる。
「お乗りください!」
かりんとひかり、そしてイナリを無事ロボの内部に送り込んだエリーがさくらと大門とテレビクルーをヘリに乗せて再び飛ぶ。
「皆さんご覧ください! 振袖小町がコミシェを守るために全力を尽くしております! 我々は悪の正体を突き止めるべく突入を試みようと思います!」
特撮でしか見られないような画が撮れていることにカメラマンは高揚し、大門の実況も力が入っていた。
「かりん、コクピットの場所わかるの?」
「こういうのはだいたい頭にあるのがお約束だから、そっちを目指す!」
「うん、振袖のカケラの反応もこっちにある!」
会議棟を駆け抜けたかりんたちは彼女の勘とイナリが感じ取った反応を頼りに居場所を探す。
「かりんちゃん! ひかりちゃん!」
遅れて内部に突入したさくらが合流し、国際会議場の中に入ると、ステージに今回の主導者を中心にナフ・ヴァルキリー3人が席に座って並んでいた。すなわち、ここがコクピットになっていた。
これまでも巨体のネガボットと戦ってきましたがそれよりも大きなロボとの戦い、特撮ならこっちもロボなレベルです。




