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華のお江戸の振袖小町  作者: 水虎
第弐拾陸幕「祭典」
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第弐拾陸幕の拾

密です!

 P&L本部では姫がいい報告を受けて笑みを浮かべていた。本来なら保護した少女たちが集まっている部屋には年齢を問わず姫の信奉者たちが集まり、規模は違えどそれこそコミケと大差ない人口密度が姫の部屋を除くP&L本部に詰めかけていた。

「ああ、遂に姫が世界を救済なさる時がやってくる……!」

「あと少しでこの世から男が絶滅する、これこそ私たちの理想郷!!」

 姫を礼賛する声が響き渡る中、続々と信奉者が集まってくる。その多くは成人女性で、元からいた少女たちは肩身の狭い思いをしていた。

「ねえ、なんかおかしくない……?」

「来てる人たちみんな変だよ……」

 小声で話してる少女たちはそっと部屋を出ていこうとするが、入ってこようとしてきた信奉者たちが壁を塞ぎ、既に部屋に入っている信奉者が彼女たちの手足を掴んで拘束して逃げられなかった。

 もはやフロアのすべての部屋が信奉者で満杯になり、廊下はおろかエレベーターホールで足止めを食らう者まで現れ、案内をしていたひなたとかぐやはてんてこ舞いだった。

「ちょっと! 早く案内しなさいよ!!」

「どいて! あんた邪魔!」

 部屋のキャパシティからあぶれた者たちは苛立ちを見せて揉め事まで起こってしまうも、誰も止めようとするものはいなかった。

「ひなた! こんなに信者がいるなんて聞いてない!」

「それは私も……」

 浮かない表情をしたひなたとキャパオーバーに苦しむかぐやは準備が整うのを今か今かと待っていた。

 蓮の体内から紫色の光が放たれ、双子は磁石の同じ極のように反発して吹っ飛んでいった。いったい何が起こったのか本人にもわからなかったがチャンスなことは変わりはない、相手が立ち上がろうとしている隙にあおいは水色、蓮はピンクの双子と一騎打ちを仕掛けた。アイコンタクトなしで二人はどちらに相対するかを決め、走ってきた相手への対応を始めた……と見せかけて、そのまま通り過ぎる。

 メイドは正面衝突を起こし、互いに互いを攻撃しあう。仲間割れを起こしてあおいたちが眼中になくなっている隙に近づいていく。

「俺たち双子を!」

「なめないでよね!」

 烈槍・紺碧であおいは水色のメイドを貫く。彼女の腹部からは血ではなく黒い液体が飛び出た。蓮は逃げたカメラマンが忘れていったカメラのストロボを焚いて視界を奪ったところを羽交い締めにする。形だけとはいえ女性に拳や蹴りを振るうのは気が引けたようだ。

 貫かれて黒い液体を腹から流している状態の水色のメイドをピンクのメイドに向けて投げ飛ばすと、双子は揃って黒いゲル状に変化して一体化し、ホールから飛んで行ってしまった。

「勝った……?」

「でもさっきの……何だったんだ……?」

 あの時の光はなんだったのかという謎が頭をもたげてくるが、二人の間で一つの共通認識はあった。

「今の、さくらには内緒な」

「うん。言ったら前みたいになるよね」

 懸念事項が出来てしまったのが不安を漂わせているが今はそれよりも黒い物体の瞳孔を優先し、飛んで行った方向へと進んでいった。

コロナがなくても人口密度が高いと精神的につらい。ソースは俺。

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