第弐拾伍幕の拾伍
P&Lが揺れる。
「……かぐや!」
「はい、我が姫」
吐き捨てるように名前だけを呼んだ姫は部屋のドアを強く開けて出ていく。やれやれと言わんばかりにかぐやは外へ出て保護された少女たちを数人引き連れて大急ぎで浜辺へと駆けていく。
かぐやが少女たちを引き連れてワープ装置のある部屋に入ろうとしたら、二人の男性が待ったをかける。
「若菜! 一緒に福岡に帰ろう!」
「真弓! 母さんが待っとんで!」
偶然にもかぐやが自らの夢に飲まれている紫苑の夢を鎮圧するための要員に連れていこうとしていた中に、福岡と大阪それぞれでP&Lに乗り込みに来た父親たちの娘がいたのだ。
「おとん……!?」
「うちんためにしゃっちが東京まで……!?」
家庭環境や学業で悩みを抱え、福岡と大阪から姫に会いに行くために東京まで家出してきた少女、春日若菜と住吉真弓は父の愛に動揺していた。
「あんたたち、姫への忠誠とただ血がつながってるだけの親、どっちをとるの? こんなんじゃ戦力にならないからここに残って考えて、こっちは他の子と行くから」
かぐやは増援を要請してから、若菜と真弓以外の少女たちとワープ装置に乗り出発する。遠路はるばるやってきた父との再会に心揺らぐ二人の少女は父とともに話し合いのために近くのファミレスへ向かう。
アイリスの戦いはまだ続いていた。足を狙った蹴り一辺倒への対応ができてきていたため有利に立ち回りができていった。
「(確か違った戦い方もできるんだったよな……やってみるか)」
攻撃が止んだと思ったのも束の間、下半身が馬のように4本足になってケンタウロスを思わせる状態に変形した。中継映像を見たボヴィーニは隠し玉のお披露目に微笑むと同時に、カルネロからの言葉に合点がいった。チュイはこれがきっかけで彼が選んだモチーフでは龍が馬になることを初めて知り目から鱗だった。
「食らえええええ!」
パワーでねじ伏せる戦法をとっていたこれまでとは打って変わってスピードを武器にアイリスへ突進する小菅。だが、とっさに砂で形成された壁に跳ね返される。
「どうも本調子じゃねえみたいだな……覚えとけ!」
命拾いしたアイリスだったが、新たな強敵の出現には戦々恐々としていた。
少なくとも3人の一般少女が脱会、姫の城は安泰ではなさそうです。




