第弐拾伍幕の玖
本日のお相手はこの方です!
「あなたたちやっぱり!」
「P&L!」
紫のビキニの美女は笑みを浮かべ、小声でつぶやいた。
「革新」
すると、彼女はベリーダンスの衣装を模したFFVを身に纏っていた。
「今度はしお姉か……!」
彼女がDianthus from.JPNでセクシー系お姉さんキャラだった越前紫苑だったことにかりんはここで気づく。微差ではあるがさっきまでのビキニ姿よりも布面積が増えていることに彼女は最初からこの姿でもよかったのではとすら思っていた。
「人々の避難はおまかせください! お二人はこいつを!」
エリーが避難誘導を買って出て、アイリスとかりんは振袖小町に変身するが紫苑は戦うそぶりを見せなかった。
騒ぎを聞きつけてさくら、あおい、ひかりも後から合流したが彼女が戦う気がないことに拍子抜けしてしまう。
「あなたたち、ここではなく夢の中で勝負しましょう。そこで私に勝てたら今眠っている人たちは解放しましょう」
勝負に乗りたいところではあったが、夢の中になどどうやって行けばいいのかわからずさくらが行き方を質問する。
「それは自分で考えることね。あと、夢の中で死ぬか寝ている肉体が死んだ場合命が尽きることをお忘れなく」
納得のいく答えは提示されることなく、彼女は眠っている桃香の体を通して夢の世界へと去って行った。振袖小町は一旦サマーキッズに戻らざるを得なくなった。
東京に向かう新幹線が、新大阪に停車した。空席だったサラリーマンの隣の席には、同じくらいの年代の男性が座った。
「そないに思いつめた顔して、どないしましたん?」
大阪弁で話しかけられたサラリーマンは、自分の表情が他人から見ても追い込まれていたことに気づくと同時に、声をかけられて緊張がほぐれる。今目の前にある大きな問題を話すと、なんと彼も同じ問題に直面していた。
「うちの娘もや。姫はこの世界を変えてくれるごっつええ方やて聞かなくって……これじゃまるで宗教や」
「血液輸送車ん事件やホールん事件でも女ん子が駆り出しゃれとったげなし、もしそこしゃぃうちん娘がおったらて思うと考えるだけで背筋が凍るばい」
「どっちも振袖小町が何とかしてくれたけど、あの子たちもきっとうちの娘と同じくらいやから心配やで」
新幹線は京都に停車、この頃にはもう初対面で名前も知らなければ住む場所も違うことなど吹き飛び、同じ娘を持つ父親という立場、ただそれだけで彼らは協力関係を結んだ。
若者が動く。おじさんも動く。




