第弐拾伍幕の伍
水着美女にご用心。
「おい、どうなっても知らないぞ!」
蓮が高井と久我の目論見を止めようとするが、彼は誠治の恋路を応援するためにここまで来たという。本音は絶対違うことが見え透いていた。
「いいか、ラッキースケベは相手とフラグが立った証だ。なら起こすしかねえだろ!」
「それに蓮さぁ、小町部の子たちみんな可愛いんだから俺たちに紹介してくれよー、いいだろー?」
自分も男子高校生だがここまで女に飢えている相手には紹介したくない、特にさくらとあおいとはよこしまな感情を持ってお近づきになってほしくないと兄を通り越して父親的感情すら抱いていた。
「それじゃ私行くから。小町部も頑張ってね」
「軟式もね!」
さくらと久美が互いの健闘を祈り、久美が更衣室の扉を開けると、男子4人が揉み合っていた。
「あんたたち……?」
「蓮!!」
この場所にいる彼らの目的を悟った彼女は瞬時にマネージャーの責任として軟式部員の3人に拳骨をかまし、蓮はさくらに耳を引っ張られてしまう。
既に着替えを済ませて部屋を出ていたアイリス以外が被害を受けた事件になったが、ひかりは生まれたままの姿を見られてしまってもあまり気にしておらずそこは気にしようと咎められていた。
「さて……始めようかしら」
現地に到着したP&Lの新たな刺客は、木を隠すなら森の中というように水着姿に麦わら帽子をかぶって浜辺を見渡し、ターゲットを品定めしていた。すると、お盛んなカップルの男女がイチャイチャしながら歩いているのを目撃した。
「……最初はあの子たちに決めた」
彼女はゆっくりと若いカップルに近づいていき、男はあっさりと露出度の高い上下紫のビキニを着たナイスバディな彼女に見とれる。
もちろんカップル同士で言い争いが始まる。だが、これこそが彼女の策略だった。
「楽しい時間を……」
「「うわあああああ!!!」」
二人が倒れていることを確認してから、彼女は麦わら帽子を深くかぶって別のターゲットを探しに行こうとすると、海の家が目に入る。
「飛んで火にいる夏の虫ね」
彼女は何事もなかったかのように歩みを再び進めた。目的地に近づくにつれて、倒れていく人が一人、また一人と増えていき、直後に彼らは消えていった。
この埋め合わせをしてもらうことを蓮に確約させ、全員が着替えを終えて宿舎の入り口に集まったが、アイリスがいない。
「アイリス、どこ行っちゃったんだろう……」
「土屋さんがどこに行ったか心当たりある人いる?」
「もしかして、なんだけど……」
あおいが危惧したのは、整った顔立ちと高校生離れしたナイスバディの持ち主である彼女が水着、つまり彼女のナイスバディが余すことなく全開な状態であることだ。そしてここは海水浴場、女性との出会いを求めて盛っている男がたくさんいる。つまりそういう連中にナンパでもされているのではないかと心配し立ち眩みすらしてきた。
「いやいや、そんな大ごとになるわけ……」
「それあおいがアイリスの立場でも同じこと言えるの?」
かりんが釘を刺して蓮を牽制する。ここずっと正気を失い常軌を逸した言動や思想を掲げて傍若無人な事件を起こす者との戦いが真っ只中という状況なだけに考え過ぎだと思っていた自分を反省した。
海は美女との出会いが待っている。だがその中には悪女も……。




