第弐拾伍幕の壱
本日は仙台からお送りいたします。
純粋無垢な少年少女を洗脳し、姫の理想郷を創るための信奉者及び労働力の確保は、P&Lのブレーンともいえるひまりが自ら課した条件を振袖小町がクリアできたため防ぐことに成功した。
また、電磁波装置による東京プラタナスホールの破壊も全壊させる気ははなからなく、少し衝撃を与える程度だったことが幸いし電磁波を浴びたのが生身の人間である馬込亜沙美でも軽傷を負う程度で済んだ。だが彼女はこの一件の主犯格として警察に逮捕されるも往生際が悪く容疑を否認し続けていた。
この日までに姫の思想に影響された少年少女たちは全員洗脳が解け、日を改めて開かれたサッカー教室も男女混合で和気藹々と開かれ、アイリスとさくらは目を細めていた。
それを恨めしく見ている視線があるとも知らずに……。
プラタナスホールの戦いから数日後、宮城県仙台市。
「……おや、ここに派遣されたのはあなたでしたか」
仙台城跡にそびえたつ伊達政宗像のすぐ近くで読書をしていた手が止まり、本を閉じてスキロスが立ち上がる。
「仙台も秋田美人に負けず劣らずだ……集着!!」
麻生と同じくかつてとは細部の違う装備に身に纏った片桐学にもスキロスは一切動じなかった。
「護裏霧中!」
「やめてくれ、俺はみんなのものだよ?」
片桐は幻覚の中で全国津々浦々の美女たちに囲まれる。気障な台詞を吐いている彼に歯が浮きそうになる中彼を放置して伊達政宗の像に近づいていく。
この模様の生中継が廃屋で行われていた。チュイは冷めた目で、ボヴィーニは見守るように、そしてカルネロは興味深そうに行く末を見ていたところに、日本各地を股にかけた特殊な振袖のカケラを巡る争いに一人蚊帳の外だった小菅がこれまで一切無関心を貫いていたスタンスを崩して中継を視聴にやってくる。校内で有名な彼の女好きがこんな形で彼の首を絞めていることを鼻で笑ってから、カルネロに声をかける。
「……おっさん、話があるんだけど」
おっさんと呼ばれ癪に障るも、この戦いが終わってからという約束で彼の話を聞くことにした。
スキロスはあらかじめロンから受けていた指示に従い、伊達政宗像の眼帯部分に手をかける。すると簡単に外れ、中に振袖のカケラが隠されていた。
「聞いていた通りだが、まさか本当にあったとは……」
半信半疑で調べていたのが事実だったことに動揺を見せつつも、相手の幻覚が切れるタイムリミットが近づいていたため急いで撤退した。
カルネロ側も動きが活発になってますね。




