第弐拾肆幕の拾伍
都合のいい奴とはさっさと縁を切るべし。
「ねえひかり、あれから考えたんだけど私、またあなたとお友達になってあげてもいいんだけど、どうかな?」
一人を除いて唖然としていたのはホールだけではなく、放送室でも同じ状況に陥っていた。ここまでの経緯を知っていればどの口が言うといった内容の提案であり、ここまでのひかりの心に引っ掛かっていた提案と一字一句同じ言葉がかぐやから出てきた。
「私たちがまた友達になれば振袖小町とP&Lが戦うこともなくなる、世界も平和、みんな得するよ? ほら、仲直りしよう?」
「ひかり……」
裏切られたとはいえ、彼女のことを長年無二の親友だと思っていたことは事実。どんな問いを出すのかさくら、ラパン、ひなたは固唾をのむ。
差し出されたかぐやの右手に、彼女の右手が同じ高さまで上げられる。さくらは悲観し、ラパンは呆れ、ひなたは直視すらできなかった。
だが、その直後に放送室にこだましたのは手をはたく音だった。はたかれた側の体は放送設備の上に倒れこむ。
「お前!!!」
「自分以外の人は利用するものだととらえて、自分の都合で接する態度を変える関係なんて、そんなの友達とは言わない! もう二度とそんなこと言わないで!!」
「……後悔しても知らないからね!!!」
心底悔しい顔をしながら、かぐやは放送室の窓ガラスをぶち割ってそこから真下にあるホールへ飛び降りて後にした。その後を追うように、さくらとひかりも飛び降りた。
ひなたがふと放送設備を見ると、かぐやが倒れこんだ影響で自分が持ち込んでいた装置のスイッチがオンになっていた。慌てて建物の外を監視するためのモニターを確認すると、ホールを標的にしていた電磁波がその装飾に使用していたプロジェクションマッピングつまりプラタナスホールの真上からずれていた。電磁波がこのままでは衝撃波として落下するのも時間の問題、もう誰にも止められなかった。
「いい? 私を確保しようとしたら全員通報するわよ!」
蓮を力ずくで振り払った馬込は、脅し文句をつけてその場の全員から距離を取る。目的は逃走、しかし鬼気迫る表情の彼女にその場にいた誰もが手出しできず、彼女を中心に大きな輪ができて周りには誰もいなくなっていた。
これで後は逃げるだけ、そう思った時だった。彼女に対して道のコンクリートがえぐれるほどの上から大きな圧力がかかり、動けなくなってしまう。人々も衝撃で後ろに飛ばされてしまうが、こちらは奇跡的にかすり傷程度で済んでいた。
「見て! でかいハイヒールがなくなってる!」
少年が視線の先にあるホールの上にあった大きなハイヒールは跡形もなく消え去っていることに気づく。何が起こったのかはわからないが彼女に対して天罰が下ったと喜びの声を上げ、警察への通報はあった一方救急車の手配はおろか誰も彼女を心配する者は皆無だった。
友情はとっくに切れてたけど縁は決着がつくまでみたいです。リアルではこうなりたくない。




