第弐拾肆幕の拾肆
攻撃的な奴ほど自分が攻撃されるほど弱い。
鋭刀・白銀と鋭刀・黒鋼、さらには撃銃・鋼鉄をもってしてもひびの一つすら入らなかったバリアが、FFVを纏ったかぐやによる一撃で外からガラスのようにいとも簡単に砕け散り、消滅した。
「……外からの攻撃には脆いんだね、あれと同じ」
「私を親友だと勝手に思ってたバカじゃない、元気?」
ひかりはかぐやの来襲に身構える。
これ幸いにと人々はホールを後にしようとするが、我先にと人波をかいくぐって逃げようとしたのはなんとこの事態を引き起こした元凶の一人である馬込だった。
「おい! 逃げるな!」
蓮に取り押さえられた馬込はセクハラだと主張するが、今はそれどころではなく混乱に陥れておいて自分だけ安全圏に逃げようとする卑怯な態度に、既に正気を取り戻していた多くの人々から非難が集中していた。
「ちょっとあなた! 助けなさいよ!」
「ここじゃ騒がしくなるし、場所を変えよっか」
取り押さえられたまま抵抗を続けながら馬込はかぐやに助けを求めるが無視され、彼女はラパンとともにホールに入っていく。ひかりもそれに追随する。
「もうすぐこのホールはつぶれちゃうのよ! 死にに行くつもり!?」
口を滑らせてしまった。そう気づいたのは彼女が逃げていく人々の波に飲み込まれてからだった。
「……ここまでのようね」
放送室ではひなたがさくらに見つかり、おとなしく白旗をあげる。その旨が彼女による放送で流され、同時に避難を拒否していた女性や少女、一部の男性の洗脳が解けて大慌てで避難に応じホールは小町部とP&Lだけになる。彼女がいる場所を特定したかぐやとラパン、そしてひかりは放送室へと駆けていった。
「まだだ、あいつは降参したけど、私はまだ負けていない!」
蘭は空席だらけでがらんとなった客席を一通り見渡してから男性が一人もいないことに気づいてから桃香に説得されていた少女がまだ避難できていないことに目を向け、彼女を捕まえ人質に取る。
「ねえ、あなたは姫のために今すぐここで死んでくれるよね? 姫はあなたの死を歓迎しているよ」
勿論少女は首を横に振って拒否する。だが蘭は言葉を続ける。
「これは姫と理想郷のための素晴らしいことなんだよ、そして何よりあなたのためでもあるんだ」
いくら洗脳されているが故の所業とはいえ、十人並みの男性よりもかっこいいことがアイドル時代のアピールポイントでもあった彼女からは想像もつかない少女に対しての暴言と、敗北を認めないがために起こした卑劣な行為にその頃を知るかりんはもちろんあおいとアイリスも唖然とする。
このまま膠着状態が続くか、覚悟していた矢先に、声が響く。
「いい加減にしなさい!!」
戦いのステージに上がるはずのない人物が上がってきた。桃香だ。
諦めが悪いことは時に自分の首を絞める。




