第弐拾肆幕の拾弐
再会は突然やってくる。
振袖小町はホールの人々の避難を開始し、正気を取り戻した少年たちは意識を保った状態で蓮とかんなと桃香による避難誘導に従うが、男性たちはふらふらとおぼつかなく、女性と少女は席を立つ者は数えるほどだった。
「このままではまずい! 狭壁虚造!!」
蘭がステージに掌を当てると、波動が広がりプラタナスホール全体まで行き渡るとそこから大きなバリアが形成され、屋根まですっぽり包み込んだ。
「さあ皆さん、私を応援して! 姫の名のもとに!!」
観客の女性と少女による彼女に向けられた黄色い声が浴びせられ、彼女を止めようとするアイリス、あおい、かりんを軽くいなす後押しになった。
オリエント・ゾディアックのアジトではゴーダが広島で振袖のカケラの獲得に失敗したという報が届いていた。
「思っていたよりも厄介なことになったな……」
「まさか鎧をつけた坊やが増えるとは思わなかったわ。小宇宙を感じてるわけじゃあるまいし、カルネロも恐ろしいことしてくれるじゃない」
キマが愚痴をこぼしていると、ラパンが外出しようとしていた。
「仕事か?」
「ううん、P&Lが振袖小町と戦ってるから……冷やかしに。ついでに姫の正体も吐かせて来る」
出発した彼女の背中は悲愴感と使命感を同時に背負っていた。
「(みんな……待ってて! 私が助けに行くから!!)」
人々の意識はまだ完全に戻ってはいないが幸いにも正気な人々は避難指示には従い、続々とホールを後にしていた。
「いつもながら姫の思いつくことは悪趣味だなぁ。ま、そこがいいんだけど」
「悪趣味。あの人……いや、あれらしいやり方」
「「あ」」
ひなたが秘密裏に呼び寄せた増援と、事実を自らの目で確かめに来たラパンがそれぞれ別方向からプラタナスホールの前に到着する。ホールの真上にはプロジェクションマッピングで作られた巨大な透明のハイヒールが地に着くのを今か今かと待つかのようにじわじわと近づいてきていた。
姫を慕うよう洗脳された人々の対応に苦戦しつつも避難は着実に進んでいたが、同じ場にいながら、巻き込まれた人々には逃げてほしくない立場にある蘭は避難を妨害する素振りを一切見せないことに疑問を抱いたひかりと蓮はその場を離れてエントランスに向かうが、近づくにつれて人が増えていく。
入り口に着くと行き場を失った人でごった返しており、一人の少年が自動ドアの開かないギリギリのところで二の足を踏んでいた。
「早く逃げて!」
ひかりが促すが、少年は首を横に振る。試しにかりんが自動ドアをくぐり何ともないことを証明してみせたが、それでも逃げようとする者はいなかった。
ひなた、かぐや、卯月、洗脳を免れた元Dianthus from.JPNメンバーがP&Lに激震をもたらす!?




