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華のお江戸の振袖小町  作者: 水虎
第弐拾肆幕「友情」
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372/451

第弐拾肆幕の陸

ひかり、小町部に体験入部!?

 フリージアどころか都内全ての児童養護施設の子どもたちと相対する当日、部員たちは福岡で美術館が襲撃される事件が起こったことや都内で男子小中学生による自殺未遂が多発していることが話題となった。起こっていた時間と悪寒がしていた時間が一致していたことに気づいたさくらは、ティーガーが福岡で一悶着起こしていたに違いないと結論付けていた。

「……あいつはアジトにいてもさくらのことばっかりだったからね……」

 苦笑するひかりに当事者としてはたまったものじゃないとさくらは嫌悪感を示すが、かりんはどこにいてもぶれない彼の姿を想像し自分の目の前に強大なライバルがいるがどこまで太刀打ちできるか行方が気になっていた。

 一方、サッカー教室に参加していた男女の対立に悩んでいたアイリスと小中学生の男子の自殺未遂の多発が気になっていたあおいと蓮はこれらには少なからず因果関係がありそうだと推理していた。

 話し込みながら花ヶ咲駅に小町部は到着した。

「みんないるわね……あなたは?」

「はじめまして、鳥羽ひかりです……」

 打ち解けられた相手には饒舌になるがそうではないと借りてきた猫のようになる姿に小町部は目を丸くしていた。プチッツァとしてぶっきらぼうに話していた姿からはとてもではないが想像できない姿である。だが、彼女の名前を聞いてすべてを察し、訳知り顔で桃香は返答する。

「火宮さんたちのクラス、2年B組の担任をしてます、白川桃香です! あなたが鳥羽さんね、2学期からよろしくお願いします!」

 彼女の小柄さから、最初は振袖小町のことを知らないさくらたちと同じ学校の友達、あるいは同じ小町部の部員かと思っていたひかりは、なんと顧問の先生、つまり成人女性だったことに仰天しずっこける。よくあることだと笑い飛ばした彼女は手を差し伸べ、ひかりはそれをつかむ。

「(学校の先生ってこんな人もいるんだ……)」

 初対面同士の自己紹介を済ませ、出発しようとした矢先、フリージアの職員から桃香に連絡が入る。電話を切ってから、部員たちに内容を報告する。

「みんな聞いて、今日なんだけど、私たちが慈善活動をする場所が都内の児童養護施設全部に変わりました。それが理由で行先も変更になりました」

 突然の予定変更、しかも想定していた人数より数倍も多くの子どもたちが相手となる逆風が吹き荒れ始める展開に理由を聞くよりも腑に落ちないという思いが先行していた。

 電車の中でさくらが理由を尋ねると、含みはあったが諸事情だとしか話してくれなかったと桃香は疑念が拭えておらずそれは部員たちも同じであった。

「大人の事情ってやつか……」

「場所がホールじゃサッカー教室はできないか……」

 釈然としない中もどかしさとむずがゆさ、そして不安を乗せて電車は目的地の最寄り駅へと走っていった。

「楽しみだね!」

「うん!」

 目的地である「東京プラタナスホール」では、都内全ての児童養護施設の子どもたちが次々と入場していた。今回行われるプログラムは最初から最後までお楽しみで、参加者には何も内容が知らされていなかった。

 会場にはまだ小町部が到着していないが、開会式のために幕が下りているステージの裏でスタンバイしている者がいた。

当日まで予定が知らされないものに参加する、きな臭さしかない。

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