第弐拾肆幕の参
オリエント・ゾディアックから見たP&L評。
「なんてこった……!」
「とにかく、今はフリージアのみんなに見せる劇の練習をしよう!」
本来アイリスはサッカー教室の後に伊吹神社に集まっている小町部と合流の予定だったが予定を繰り上げて合流、本番が近づく中一抹の不安を抱えた状態で練習に励んだ。
もっとも、ひかりはそれとは別の不安が心に引っ掛かっていた。
昨日、スマホに機種変する直前のこと。久しく連絡のなかった相手からの久しく使われてなかったメールが届いていた。
「ねえひかり、あれから考えたんだけど私、またあなたとお友達になってあげてもいいんだけど、どうかな?」
これだけ簡潔に書かれていた。ひかりは削除こそせずとも返事はできなかった。
同じ日、相手陣営が新たな力を手にした光景を目にしたキマが帰還、同じく仕事を終えたラパンと鉢合わせする。
「お前たちが一緒とは珍しいな。キマ、例のものは?」
「……実は……」
自らが大阪で目にしたカルネロの陣営に付いている少年の一人が振袖小町……というよりもプチッツァが6枚の羽の力に溺れていた時に対峙していたメイドが身に着けていたものをさらに装甲の面積を増やした、あるいは一時期共闘したズウォートやムングを彷彿とさせる装備を全身に纏っていたことをキマは報告した。
「そんなことが……。ただでさえ新たな敵が現れたというのに、他の面々は大丈夫だろうか……」
ロンは不安な表情を一瞬でかき消す。
「そうだ、いい茶葉が入ったんだ。俺が淹れるから飲みながら話を聞かせてくれないか? どうやらラパンも話があるみたいだしな」
「いいじゃない、いただくわ」
「私も飲む」
慣れた手つきでお茶を淹れ、2人分のティーカップが用意され、注がれる。謹んで出された紅茶を口にすると、死人であるがゆえに味覚の希薄な彼女たちでもおいしいと感じ、温かさと芳醇な香りを味わっていた。
「今話題の団体……あるでしょ?」
ラパンが口を開き、キマが返事をする。
「P&Lだったかしら? 女性のためにとか言ってるけど、あたしとしては絶対裏があるって最初から思ってたのよ」
既にオリエント・ゾディアックの中でもP&Lが振袖小町と戦っていることは知れ渡っており、とりわけ先日の血液輸送車の暴走事件はニュースでも大きく取り上げられたため公にはなっていないがP&Lの仕業であると確信していた。
「あれのトップは……たぶん私の知ってる人」
キマの持つカップの手が震える。世界は広いようで狭いことを感じさせる一言から、ラパンは話を続ける。
「私の推測が正しければ……」
彼女の推測した相手の人物像に二人は静かに耳を傾ける。聞き終わるころにはカップに残っていた紅茶はすっかりぬるくなっていた。
三つ巴が繰り広げられる予感!




