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華のお江戸の振袖小町  作者: 水虎
第弐拾肆幕「友情」
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第弐拾肆幕の弐

子どもたちにに近づけちゃいけないものが世の中にはあるがそれに当てはまるかどうかをちゃんと見極める力はめちゃくちゃ大事。

 翌日、夏休みということで平日であるがアイリスがこの地域の少年サッカークラブである「レオーネ豊穣」と「花ヶ咲FC」の選手たちのうち希望者にサッカー教室を開き、さくらもそのアシスタントとして参加していたが、どちらのチームも男女混合、むしろ男子の比率が多いのだが来ていたのは女子ばかりで男子はたったの3人、それも以前母親がネガボットにされたジョージ吉井と、その一件で彼と友人になった渡辺純也と木村修一しか来ていなかった。

「あれ? 男子は君たちだけ?」

 アイリスが尋ねると、女子たちが口々に男子がいなくてせいせいするという趣旨の発言をしてくる。肩身の狭い思いをしている男子3人を案じてアイリスが注意すると、彼女たちからはとんでもない言葉が返ってきた。

「だって、男子たちは将来的に私たちのことをいやらしい目で見るって決まってるもん!」

「そうそう! 男なんて子供から年寄りまでみんないなくなって当然!」

 怯える男子たちを遠ざけてから、アイリスは女子たちと目線を合わせて尋ねる。

「ねえ、どうしてそんなこと言うの? 誰かに何かされた? よければお姉ちゃんに相談してみて」

 女子たちからの返答は、恐ろしいものであった。

「姫がそう言ってた!」

「うちの学校でも姫のお話聴いた!」

「男なんてこの世にいらない! 姫の目指す理想郷をみんなで作ろう!!」

 女子たちは口を揃えて姫が言っていたと語り、姫は素晴らしい存在であり男が存在しない世界を創ることはこの世界のためだと豪語していた。

「アイリス先生!」

 姫に心酔している女子を見て居ても立っても居られなくなった純也が走ってくる。

「ねえ、女の子たちと喧嘩でもした?」

「喧嘩はしてない、でも……」

「でも?」

「女子たち、姫の話を聞いてからみんなおかしくなっちゃったんだ!」

 姫の話を聞いた、これだけでも衝撃的な事実だったがアイリスは修一から聞いた言葉にショックを受ける。

「この前うちの小学校にP&Lって団体の人が来て……」

 なんと修一たちが通う小学校でP&Lによる姫の思想を広めるための集会が行われたという。その影響で夏休み前は全校中が男女間でギスギスしていてとても居心地が悪かったと語っていた。一方で、自分たちと同じ男子で姫の考えを肯定していないジョージは自分たちと違って一切手出しされなかったことも腑に落ちないとも主張していた。

「こうしちゃいられない! ごめんね! 今日はこれで解散!」

 サッカー教室は急遽解散にしてアイリスは少年たちから聞いた話を小町部に連絡した。エリーが調査したところによると、血液輸送車ジャックが起きたあたりからP&Lによる講義が都内の全小中学校で行われており、彼女たちの話を聞いた小中学生女子たちの多くが姫の信奉者となってしまっているという。

 具体的な事例として、女子たちによる男性教師の授業のボイコットや同性間でも姫の考えに賛同しない者には迫害する者まで現れていた。さらに被害は子どもたちだけにとどまらず、一部の教師までもが姫の思想に感銘を受け信奉者となった者も現れ、「姫を尊敬しない生徒はこのクラスにいてはいけない」と公言し精神的に生徒を傷つけ登校拒否に追い込んだ教師まで出てきている始末であった。担任教師、とりわけ小学校におけるそれはクラスにおけるある種の独裁者と揶揄されることがあるがその性質が最悪の形で噛み合った結果都内各地の小中学校で泣きを見るものが現れ、後味の悪い形で1学期が終わっていたのである。

頭のおかしい教師が担任になると教室はそいつの意見が半永久的に絶対になる地獄の空間と化す。

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