第弐拾参幕の拾肆
瞬発力で乗り切るのが得意ならそれでいい。
影に潜った沙羅に再び引きずり出そうと試みるが、ヘリは血液を輸送するために既に飛び立っており強い光を当てる戦法はもう使えなかった。
5人の振袖小町はそれぞれ距離を取り、下手に動かずに相手の様子を窺う。膠着状態がしばらく続いた後、あおいの体が彼女の意思に反して動き出し、烈槍・紺碧を取り出して他の4人に向けて振り回してきた。
「あおい!?」
「ダメ! 止められない!」
自由を奪われたあおいを助けたいのはやまやまだが仲間を攻撃できないジレンマに苦しむ中、果敢にも蓮が彼女を止めに入る。
「勝手にあおいの体使いやがって! ふざけんじゃねー!」
彼があおいの体を羽交い絞めした直後、彼女が脱力し自由を取り戻す。しかし木の影に隠れてからまたも物の影を伝ってその場にいる誰かの影に入り込んだ。
「さあ! 誰の影の中にいるか当ててみな! ざこざこ小町! わからなかったらそこの男をやっちゃうよ!」
どうやって影に潜んでいる沙羅を引きずり出すか思案するかりんは、こんな時どうすれば影ができない環境になるか考えていた。そこにひかりが声をかけてくる。
「これ終わったら、一緒にデンキガイサイバーズ見ようね!」
死亡フラグという概念のない彼女が何の気なしに放った言葉にヒントを得て、かりんは思い切った行動に出た。
「みんな、ちょっとだけ我慢してね!」
かりんは地面に手を付け、自分を除く全員を巨大な突風で吹き飛ばす。そして彼女たちの体が浮きあがった。
「蓮!」
「ボクに捕まって!」
あおいは無防備な蓮の手をしっかりつかみ、イナリは彼に抱きかかえられる形になって宙を舞った。
「かりんちゃん!?」
そして迅弓・萌葱を取り出し、構える。
「これじゃ影に入れない!」
空中では影ができず、飛ばされた人物の数が増えていた。さくらの体が浮き上がったと同時に、沙羅が出てきていたことに気づいた彼女は狙いを定める。
自由に飛ぶことはできなくなったが、空中での佇み方を知っているひかりも空中で撃銃・鋼鉄を構える。
「邪悪なるものよ、優雅に散華せよ! 一斉風靡!!」
「邪悪なるものよ、太陽のごとく輝き散華せよ! 金聖玉振!!」
フレンドリーファイアにならず百発百中、ヘッドギアとピュイサンス・ファムのみに攻撃が集中し、破壊していた。
重力には抗えず全員揃って落下するがそのまま地面に激突を防ぐべくかりんが風を使って体に衝撃を与えないように着地させる。全員無傷で済み、振袖のカケラの回収にも成功した。
大胆な方法で突破、これもまたかりんらしいですね。




