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華のお江戸の振袖小町  作者: 水虎
第弐拾参幕「追走」
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第弐拾参幕の拾弐

トリックを解き明かす時間だ!

「もうあんたには任せてらんない、ここからは私が運転します!」

 怒りに任せてハンドルを握り、発車する。保谷の態度とは真逆で沙羅はどうなっても自分の責任ではないと冷ややかだった。

「かりんちゃん、ひかりちゃん、お待たせ」

「にゃんぱすー」

 集合場所に指定したのは……トンネルの出口だった。ひかりは響きが気に入ったのか、田舎で暮らす小学生の挨拶を真似していた。

 無事に負傷者を病院に送ってきたヘリのプロペラ音と、血液輸送車の走る音がどんどん大きくなってくる。それに合わせるかのごとく一人を欠いたフィーユソルダも物陰から現れる。これで役者は揃った。

「エリーさん!」

 かりんの叫びに応え、エリーはヘリの照明を最大光度でオンにして、衝突されて車体にへこみができた血液輸送車……の足元の道路に向けて当てる。車は急には止まれない、保谷はブレーキをかけたものの輸送車の全体が照明を浴びる。あまりのまぶしさにその場にいた全員が目を強くつぶり、再び目を開くと……照明が当てられた場所にはこれまで全く姿を現していなかった沙羅の姿があった。

「……なんでわかったの!?」

 悔しがる沙羅に、かりんはからくりを説明してみせる。ご丁寧にひかりが見た目は子ども、頭脳は大人な名探偵を気取って物陰に隠れた。

「車が暴走していた時、常に太陽の光が当たっていた。でもトンネルの中では当たる光は照明だけで、量は一気に減る! 光の強さで変わるものと言えば影、その影の中にいたら強い光がないと視界がうまく確保できなくなってふらふらした走りになった……違いますか? Dianthus from.JPNの元メンバーで、ニックネームはさらぴんだった綾瀬沙羅さん?」

 トリックを見破られたどころか、自分の名前までわかっていたことに歯を食いしばる沙羅。

「なんでこんなことを!?」

「なんでって……献血なんてキモヲタがポスター目当てにやってるだけでしょ? そんな汚らわしいものが体に入ったらみーんなキモヲタになっちゃうじゃない!」

 沙羅はさくらからの質問に悪びれもせず答えた。感情論をきっかけにここまで多数の被害を出したことには開いた口が塞がらなかった。

「そもそもオタクの血を輸血してオタクになるなら学者の血なら頭がよくなる、スポーツ選手の血なら身体能力が上がるんじゃ……」

「そうなったら献血に引っ張りだこなはずなのに……」

 当然の疑問をぶつけ、矛盾を指摘すると、駄々っ子のように反論する。

「だって姫がそう言ってたもん!! 姫の言ってることは絶対だもん!!」

 発案者である姫に対する呆れと得体の知れないうすら寒さを感じたが、かりんは黙っていられず怒りのままに迅弓・萌葱を放つ。慌てて一人のフィーユソルダの影に潜り、矢面に立たせて盾代わりにした。風圧などで素顔を晒さないようにして腕にあるブレスレットのみを撃ち抜いて負傷者を出さないように倒す。残りの彼女たちもさくらたちが一人ずつブレスレットを破壊、撤退に追い込む。これで沙羅の盾はいなくなった。

よくわかってないのに主導権を握ろうとするのは墓穴を掘るのと同義。

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