第弐拾参幕の拾壱
おばあちゃんが言っていた、因果応報は必ずある。
天の道を行き総てを司るがごとくかりんは右手を挙げる。イナリとひかりは手を挙げて指差した先を見て彼女の思惑に気づき、トンネルは避けて迂回をしながらエリーに連絡する。その後、ひかりは気になっていたことを質問した。
「さっき怒ってた時のあの喋り方、どっかで聞いたことがあるんだけど、もしかして……?」
ひかりが推測した叫びの出典のタイトルを当てられ、かりんは今までにない目の輝きを見せる。
「知ってるの!? あまりメジャーじゃないアニメだから知らないと思ってた!」
「なんでかわかんないんだけどフリージアにそれのDVDがあって……」
彼女たちが言っていたのはデジタルペットが大流行した近未来で少女たちが成長していくアニメだった。登場人物が鳥の名前なことに親近感を覚えていたひかりにとっては思い出の作品だったという。
話が盛り上がってきたが、集合をかけた側が遅刻してしまってはいけないとイナリに諭され、移動を始めた。この瞬間、二人の間にわだかまりがほとんどなくなっていた。
勝利の鍵をつかんだかりんから簪を通じて合流場所の情報共有をしたさくらたちは、別ルートで向かっていたが、その際に奇妙な光景を目撃する。
激しいエンジン音が遠くから聞こえてくる。暴走している血液輸送車が進路を変更したのかと構えていたが、車道から吹き付けてきた強い風を呼んだ主は普通の乗用車であった。
車には詳しくないがさくらにとって思い出したくない記憶の中のそれと酷似していたそれを目の当たりにし、フラッシュバックしてきた彼女はその場で目をつぶって座り込んでしまう。
「やめて……! やめて……!」
恐怖に怯えるさくらの両手を、あおいとアイリスはそれぞれぎゅっとつかんだ。
「さくら、大丈夫。私たちがいるから、絶対大丈夫」
「今は無理だけど、絶対捕まえよう!」
さくらは頷き、立ち上がった。
血液輸送車を操作していた沙羅はトンネル内部では外と同じようにはいかず、直進することすらままならずさっきまでの暴走が嘘のような遅さで蛇行運転になりながらゆっくり進んでいた。
「なんで急に遅くなってるの? あと少しなのに!」
「こっちにはこっちの事情があるの! 今集中してるんだからおばさんは黙ってて!!」
「おば……!?」
年端も行かぬ小娘の暴言に保谷はこめかみをこわばらせる。言い返そうとした瞬間、輸送車に衝撃が走った。何事かと後ろを振り向くと、1台の乗用車が速度オーバーで駆け抜けていくのが見えた。
「危ないじゃないの! 他の人の迷惑になるとか考えてないの!?」
保谷は大声で叫ぶが走り去っていった車には聞こえるはずもなく、衝撃と彼女の怒鳴り声で気絶していた運転手が目を覚ましてしまう。今まで何が起こっていたのかなど知らない彼はパニックのあまり車にキーが挿さったまま降車し、トンネルから出て走って逃げていってしまった。
時々出てくる猛スピードの車、一体何者か。




