第弐拾参幕の拾
フィーユソルダの恐ろしいカラクリ。
モニタールームで作戦に参加していないナフ・ヴァルキリーとともに作戦の進捗を監視していた姫は出血して苦しんでいるフィーユソルダの姿に思わず立ち上がり、憤慨していた。
「どういうこと!? 素顔がさらされたら装着者を巻き込んで自爆するはずじゃ……!?」
口走った衝撃の事実に、ナフ・ヴァルキリーたちは恐ろしい機能が仕込まれていたことに背筋が凍り付く。すぐ平静を装うとする姫だが、仕様を指示通りにならなかったことを理由にひなたを睨みつけて怒りの矛先を向ける。彼女はまた制裁を受ける覚悟こそしていたが恐怖心は拭いきれていなかった。
だがそこに意外な助け舟が現れる。かぐやが姫の説得にかかったのだ。これにはひなたも目を舞叩かせていた。
「姫、顔が割れるたびに自爆していては姫を慕う少女たちが何人いても足りません。それに、振袖小町にからくりはバレていません。このまま逃げ切ればいいだけです」
説得に落ち着いたのか姫は自分の椅子に座りなおす。ひなたは安堵していたが、口が裂けても少女たちの命を守るためわざと実装しなかったとは言えなかった。
廃屋ではチュイが外出の準備をしていた。
「あら、行ってくるの?」
「うん。大阪で戦いが始まるみたいだから。あいつ一人じゃあれが取れないかもしれないし」
そう言ってMUJINAで目的地を道頓堀に定め、ズボンのポケットを四角く膨らませてチュイは出発した。切磋琢磨している彼らの姿にボヴィーニは今後の見通しが明るいことを予感していた。
あと少しで血液輸送車に追いつくところまで来ていたかりんとひかりだったが、振袖小町になっているとはいえすでに長距離を走って追いかけていただけに体力を激しく消耗していた。血液を車から出して目的地に運ぶよりも、敵がどこにいてどう操っているのかいち早く気づくかが事態を切り開くための分岐点となっていた。
走り続けるのがかなり苦しくなってきたころ、血液輸送車は一旦停車してからトンネルに入っていった。かりんとひかりも追いかけて入っていったが、前方の輸送車がどんどん減速し、直進すらもおぼつかなくなったことにイナリが気付く。
今こそ捕らえるチャンスだとひかりは走るスピードを上げようとしたが、不思議に思ったイナリがトンネルから出てその場で立ち止まる。
「イナリ、どうしたの?」
「今まであんなに速く走ってたのがトンネルに入ったら突然遅くなった、これは車を止めることができるヒントになるかも」
減速した理由は何か、どんな変化が起きたのか、二人と一匹で考え始めた。
「……もしかすると! 耳貸して!」
ある仮設に辿り着いたかりんはそこから結論を出し、ひかりに耳打ちする。
「これが勝利の鍵だ!」
血液輸送車を操ってる元凶はどこに?




