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華のお江戸の振袖小町  作者: 水虎
第弐拾参幕「追走」
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第弐拾参幕の玖

戦闘員はただ倒されて人知れずフェードアウトする、劇中での扱いはいわゆる使い捨てだけど……?

「戦闘員……!?」

 ヘリに同乗していた蓮とかんな、そして謎の黒ずくめ集団からの難を逃れ追い続けることができていたかりんは集団の風貌からフィクションで毎度大量に現れては倒されていく名もなき下っ端を連想していた。本格的な悪の組織との対峙である。そこに、別方向からひかりがイナリとともに合流する。血液輸送車は二人と一匹で引き続き追跡、振袖のカケラの探知ができるイナリが誘導を引き継いでヘリは一旦さくらたちがいる地点の上空に留まり現状が打破され次第先に進んだかりんと合流させることとなった。

 黒ずくめの集団は横一列に並ぶと、一人ひとりの手元に一丁のマシンガンが転送される。そのまま構えて一斉に発射してきたが、全員構え方がバラバラで照準もあっておらず弾丸は全弾明後日の方向に飛んでいった。

「はっ!」

 流れ弾の対策でアイリスが土の壁を形成し、振袖小町は無傷で済み、二次災害もなし。

「時間稼ぎにしてもこれはちょっと……」

 精度の低さもさることながら、あまりのお粗末さにさくらが呆れていると、発射の反動で転倒した者がいてそのまま頭にかぶっていた布が外れて素顔があらわになる。黒ずくめのベールの下は、さくらたちと大して年齢の変わらない年端も行かぬ少女だった。全く想定もしていなかった正体の露見に振袖小町たちは動揺を隠せず、その隙に残りの面々は彼女を見捨てて逃亡を図りそれを許してしまう。まだ遠くに行っていないうちにエリーが誘導を再開し、振袖小町は血液輸送車の行方を追おうとした。そのとき、事態は急変する。

「姫……申し訳ございません……」

 うなだれている彼女の耳に、ブレスレットの中からカウントダウンの音声が聞こえてくる。

「10、9、8……」

「!? 何これ!?」

 追跡を再開しようとした振袖小町たちにも聞こえるほどの大きな音で、思わず足を止めてしまうほどだった。

「取れない! どうして!?」

 彼女は必死でブレスレットを外そうとするが一向に外れず、悪戦苦闘しているうちにカウントダウンがゼロに到達する。次の瞬間、ブレスレットが小さな爆発を起こして破損した状態で外れる。外れた後の彼女の左手は内部で切り付けられたようで出血していた。苦しんでいる姿はヘリからも確認でき、所業に戦慄する。

「エリー、今降りられる? あたし、あの子を助けに行きたい」

「緊急脱出用のパラシュートならありますが……」

「おけ! それ貸して!」

 いつもながら無茶な頼みをするかんなだがこれも想定のうち、苦しんでいる人を見過ごせないと彼女なら思うのは予想済みであった。そもそも止めても聞かないだろうと思い、彼女にパラシュートの場所を教える。

「おい、降りるったって飛び降りるんだぞ!? 大丈夫なのかよ!?」

「スカイダイビングならやったことあるから大丈夫! ぶっちゃけちょっとやばたんだけど……きよぶたで!」

 かんなはパラシュートを装着し、ヘリのドアを開けて飛び降りようとした……そのとき、かりんから連絡が入る。スカイダイビングは中止となりヘリは負傷したフィーユソルダの真上に滞空して梯子を下ろして彼女をヘリに乗せ、病院へ送り届ける。

 かりんからの情報共有はさくらたちにも伝わり、それぞれ別ルートで指定された場所へと合流に向かった。

戦闘員だって元が人だった場合それまでの人生があるはずです。そこに注目してみましょう。

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