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華のお江戸の振袖小町  作者: 水虎
第弐拾参幕「追走」
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第弐拾参幕の肆

悪意が動き出す。

 あおいたち残りの小町部の面々は、百合が持ちかけてきた案件について部室で話し合っていた。部員による自発的な活動のため自由参加であり、さくらとかりんはひかりとの交流のため欠席していた。

「さくらには私からもう話してあるけど、この前みたいなことにはならないはず」

「傷つけてるわけじゃなくて自分の意思、しかも善意からだからね」

 そんな中、調べ物をしていたかんなが気になる書き込みを見つける。

「みんな、これヤバくない?」

 彼女のスマホには攻撃的な書き込みがいくつも流れてきていた。

 〈保谷夕佳 @TickHouya 現在献血で漫画「ウサギちゃんと遊ばない?」とコラボしております。しかしこんなポスターを街中や医療機関に貼るのはあまりに無神経としか言いようがなく、本来夜の店にいるバニーガールが堂々とお天道様のもとにいていいわけがない。皆さん感覚が麻痺してると思いますが環境型セクハラです。〉

 〈姫の従者さんだば@ThunderBirdH 公共の場で貼るべきポスターではないですよね。 こんな性的なものが許されるのはおかしいでしょう!〉

 〈保谷夕佳 @TickHouya 赤十字社に苦情のお問い合わせしました! 皆様も是非お願いします!〉

 〈誰がAか@eachriver なぜこんな気持ち悪いものが許されるのか理解できない。もしものことがあったとして輸血なんてなったら考えるだけでおぞましい〉

 〈オートリ@disturbHair  私たちの気持ちを表明するために、献血をボイコットしましょう!〉

「おい……これって……」

「P&L……?」

 現代文明を破壊すべく皆既日食の日に生まれた親友同士の青年を改造して戦わせ、勝った方を組織の次期首領にするはずが片方に逃げられたどこぞの暗黒結社から逃亡した当事者で、そのまま反旗を翻して壊滅させた某世紀王のように、人づてに聞いた少ない情報だけで関わり合いになってしまった組織の仕業だとすぐに決めつけてしまうのはいささか早計ではあるが、そう思ってしまってもしょうがない内容のオンパレードであった。

「かりんが見たらすごく怒りそう……」

 攻撃性しかない過激な内容のいずれもがかりんの逆鱗に触れるであろうことは火を見るよりも明らかだった。

「もしかしたら中止なんてこともあり得るかも……」

 そんなことは知る由もないかりんたちは、「アイライブ!」の第1話が終了したところだった。見るからに反応が良かったこともあって期待をもって視聴者に感想を聞いていた。

「バニーガールのやつはちょっととっつきにくかったけど、アイライブはすごく私たちみたいで面白かった。部活ものってやっぱ青春だね!」

「すごいおっぱいだった……」

 ここまでは想定していた感想だったが、次がそうはいかなかった。

「なんていうんだろう……不思議」

 かりんは思いもよらなかった言葉にその理由を尋ねる。

「ボク、高校ってちょっとしか行ってないから雰囲気がよくわかんなくて。だから高校生活って本来はあんななのかなーって思って」

 この前のスマホの件や、今の口ぶりから彼女の本音をさくらが察していると、あおいから連絡が来る。

「えーと、心配してくれてありがとう、参加できるから大丈夫……っと」

「何の連絡?」

 答えようとした瞬間、かりんが激怒し始める。

「何なんですのこれ!? ふざけんじゃねーでございますですわ!!」

 喋り方まで変わってしまうほどの怒りに思わずさくらとイナリは笑ってしまい火に油を注いでしまう。ひかりは彼女の怒り方に既視感を覚えるもどこで見たのかが思い出せずもやもやしていた。

「まあまあかりんちゃん落ち着いて……」

「落ち着けるわけねーでございますですわ! ふん!!」

 かりんの怒りは収まらず、記憶の扉も開かぬまま夕方になり、不完全燃焼な形での解散となった。

とんでもない怒り方、こいつが今回の鍵だ!

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