第弐拾参幕の参
本人が求めているのに親などの保護者がアニメや漫画、ゲームを禁止するのは虐待に当たると思う。
「いらっしゃーい」
ひかりはさくらとイナリに案内され、かりんの自宅であるマンション「アマリリスハイム」に招待されていた。
かりんとひかりの二人だけだとどうしても気まずさが抜けないためさくらから会話を投げかける。
「そういえばひかりちゃんって好きなアニメとか漫画ってあるの?」
少し考えひかりは答えるが、想像の斜め上を往く回答が飛んでくる。
「フリージアは流行とか一切無視だったからあんまり知らないんだよね。見たり読んだりしたことがあるのと言えば……」
彼女の口から出た作品の名前はポケットから道具を出す青い狸、パンのヒーロー、魚介類の家族、昭和の静岡で日常を明るく過ごす天真爛漫でおっちょこちょいな少女、そして埼玉に住む嵐を呼ぶ5歳児……といった知らない人が天然記念物レベルになるものばかりだった。ゲームもほぼやったことがなく、赤と緑の帽子をかぶったヒゲの兄弟はフリージアにソフトがあった初期の作品をやったことがあるくらいで、世界で2番目に有名なネズミこと電気鼠のことはゲームは未プレイだがアニメで見たから知っているという。
「よし、私がひかりの知らない世界のプレゼンターになりましょう」
「お願いします、師匠! 広い世界のこと、もっと知りたい!」
無料配信されているアニメをPCからテレビのモニターに映す。アニメが始まるとアバンタイトルが流れ、どこにでもいるような青年とアイリスやかんなに悠々勝てる大きさの双丘を持つ長いアッシュグレーの髪に青い釣り目、そして水色のバニースーツを着たバニーガールが現れた。
さくらはこのバニーガールに既視感を覚え、ひかりは今までに見たこともない種類のキャラクターに衝撃を受け、イナリは案の定鼻の下を長くしていた。
OPテーマのイントロが流れた後、「ウサギちゃんと遊ばない?」と書かれたタイトルロゴがドーンと出てくる。
「思い出した! これ今献血のキャンペーンやってるやつでしょ!」
「正解!」
さくらはポスターを見て衝撃を受けたあおいから見せてもらった画像のインパクトのせいで献血のキャンペーンをやるのは「巨乳のバニーガールが出るアニメ」としか覚えていなかったため全貌がわかってスッキリしたことと、ダイナマイトを軽く通り越した爆発力と破壊力のボディを持つバニーガールに自分たち未成年が見ても大丈夫なのかという心配が共存しながら視聴を開始した。
「今度私たちで献血センターに見学に行くでしょ? その予習も兼ねて見てもらおうと思ってね。あおいたちには後でURL送っとくよ」
内容はバニーガールがいるカフェで青年がダーツやビリヤードといった気軽に楽しめるスポーツ競技に挑戦するというもので、彼女の胸が必要以上に上下していてクーパー靱帯は大丈夫なのかと心配になることを除けばさくらも楽しく視聴していた。
「あー、刺激が強すぎたみたい。じゃあこれなんてどうかな」
「ウサギちゃんと遊ばない?」が終わると、制服を着た複数人の女子高生がダンスを始めるOP映像が流れる。こちらもイントロが終わると「アイライブ!」というタイトルロゴが現れる。こちらは女子高生が校内で結成したアイドルグループのサクセスストーリーで、劇場版も作られたほどの大ヒット作である。かりん自身も大好きな作品の一つでツインテールがトレードマークの「表参道さちのか」のコスプレを衣装違いで複数回行い、持ちキャラの一人にしているほどである。
「なんだか私たちみたいだね」
「そうだと思って選んだんだ」
初見のさくらは主人公たちの境遇や行動に親近感がわき、特に主人公でこの物語が始まったきっかけでもある「大手町古都華」に感情移入していたが、ひかりはそうではなく、こんなものかと思いながら視聴していた。
「(高校かぁ……また行きたいなぁ……)」
彼女はフリージアによる支援の下学校に通うことができたが、高校はかぐやとの一件があったのが高1の1学期だったこともありほとんど通えなかった。いまいち感情移入がうまくできない原因になってしまっていた。
かりんが見せたアニメ、元ネタがわかりやすいですね。




