第弐拾参幕の壱
今日の敗因なんだろう?反省会はじめー!
人々が次々と無気力になる現象を起こしていたのはP&Lの尖兵「ナフ・ヴァルキリー」の一人である坂上夕香里だった。彼女からの挑戦状を受けた振袖小町はアイリスとひかりの活躍で勝利を掴み取る。二人の友情が築き上げられた一件にもなったが、P&Lの支持者は着々と広がっていた。
しかし、姫は懲りずに彼女が望んでいる女だけの世界を創るべく暗躍を続けていた。
ナフ・ヴァルキリーの面々は、全員がジャージ姿で彼女たちが共同生活を送っているP&Lのオフィス付近にあるアパートの部屋で夕香里が振袖小町との戦いに敗北を喫したことを話題にしていた。
「ナフ・ヴァルキリーがユイット・ヴァルキリーになっちゃったわね」
「このままセット、シス、サンクと減っていかなければいいけど」
年長である紫苑や蘭が彼女たちの装備の語源であるフランス語を交えて皮肉を言い、年下の面々は聞き馴染みのない言葉だったが内容から意味を判断して嘲笑する。
「あんな子が私たちの仲間だったと思うと恥ずかしくてならない」
「あの子は姫に対しての忠誠心が足りなかったから振袖小町なんかに負けた、ただそれだけのこと」
杏夏が夕香里の敗因を断言する。その分析に、この時期特有の少女らしい声でこれまでの陰湿さのある空気を打ち破る笑い声が発せられる。
「あはははは! そうだよねー! あんなざこざこ小町にやられるなんて、あいつ超ざこざこだったよねー!」
本当に長い間同じ釜の飯を食ってきた仲だったのかと疑問を覚えるほどの冷淡な言葉が8人で集団生活を送るには明らかに狭い部屋の中で飛び交う。洗脳を受けていないひなたは彼女たちの変貌、特に天真爛漫な妹キャラとして活躍していた綾瀬沙羅が典型的なメスガキのような言動をしていることに心を痛めるが、もとはと言えば自分で撒いた種なだけに現実を受け入れてじっと耐えることしかできなかった。
「招集来てるよ」
かぐやがブレスレットの振袖のカケラが光っていることに気づき、全員でP&Lのオフィスに向かう。彼女たちはナフ・ヴァルキリーに選ばれた際に個人所有の財産、例えば通帳や衣服、PCをはじめとする生活必需品の一切などはすべて強制的にP&Lに寄贈しており、もちろん個人のスマホも解約しているため連絡はブレスレットで行っている。
ひなたはまた仲間の洗脳が解けて正気に戻る代わりに肉体的にも精神的にも傷つく可能性がある、だがそうでもしなければよく知る彼女たちは帰ってこないことに葛藤を抱えながら出発した。
新たにひかりが振袖小町として仲間に加わってそれなりの日が経つが、かりんはまだ打ち解けられていなかった。もともと彼女とは敵対していた、最大の障壁はそれであるが彼女にとってひかりと友好関係を築くことに対する二の足を踏むそれだけではなかった。そんな中、さくらから連絡が来る。どう返信するのが妥当なのか悩ましい内容だったが、勇気を出して返信した。
「(意外だなぁ、私に興味があるなんて……)」
反省会おわりー!




