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華のお江戸の振袖小町  作者: 水虎
第弐拾弐幕「信頼」
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第弐拾弐幕の拾伍

事後処理は大事。

 イナリはロンから預かっていた小さな紙袋を返す。袋に書かれたロゴからアイリスが紅茶の店であることに気づく。

「紅茶、好きなの?」

「……昔大切なお方とよく飲んでいた、それだけだ」

 紅茶を好み、自ら茶葉を選んで淹れて飲むアイリスからの問いに言葉少なに答えて去っていった。敵対関係とはいえ、彼がいた場所を見つめながら買った茶葉で良いティータイムができることを願った。

 電波が遮断されて外部からの救援が不可能になっていたオーディション会場からはひかりが持っていてまだ充電が残っていた「必要最低限の機能しかなかったガラケー」で119番通報して被害に遭った人々を救急車で搬送した。

 夕香里はふらふらとではあるが自力で立ち上がると搬送を拒否し、洗脳されていたとはいえ大きな過ちを犯してしまった事実は間違いないとガラケーから110番に自ら通報しようとするがひかりは渡さず、アイリスにも止められる。

「なんで……? 私は許されないことをしたのに……」

「今はあなたがなぜこんなことに巻き込まれたのかが聞きたいの」

「一体あなたたちが何をするつもりだったのか、わかる範囲でいいから教えてくれる?」

 外敵に狙われることをさくらとあおいが尋ねるが、こういう展開では口封じが起こりかねないとかりんが懸念したためアイリスが質問しさくら、あおい、かりん、ひかりは周囲に立って万が一の事態に備える。

「姫……いいえ、あの女は……あの子だけに手を汚させて自分は聖人君主を気取っている」

「あの子?」

「私たちと同じDianthus from.JPNのメンバーの……うっ!!!」

 言葉を続けようとすると彼女の頭に激しい痛みが走り、これ以上の続行は不可能と判断して療養をしてから後日証言を続けてもらうこととなった。

 こういった事態を想定して彼女の療養先については既にかんなが手回しを済ませており、金丸ファウンデーション所有の施設にSPを多数配置して心身のケアを行ってもらうことが決まった。

 ひとまずは平和を取り戻し、かんながエンゲル係数の急激な跳ね上がりに悩まされていることがきっかけでアイリスが手料理を振る舞うことになったと話すと、さくらが突然の提案をしてくる。

「じゃあさ、うちで一緒に住もうよ」

「そんな、ペットじゃないんだから……」

 イナリの忠告にどの口が言っているんだとさくらは釘をさす視線を送った。

「食費で困ってるっていうけど、うちとあおいと蓮の家はよくおかずを分け合ってるし、正直最近余りがちだったんだよね……食品ロスって良くないし」

 苦笑してから、アイリスには聞こえないようかんなに耳打ちする。

「それに、アイリスちゃんが作った料理食べさせるわけにもいかないでしょ」

 かんなは笑いをこらえて首を縦に振る。一方ひかりは信頼しているかんなと住めなくなることに不安を感じていたが……。

「おけまる! それならひかり、一緒に住めなくなるけどあたしと一緒に携帯ショップ行ってスマホの契約書書いたげる!」

 死ぬほどかかる食費がなくなるだけでは一方的で申し訳ないと、彼女ともいつでも連絡が取れるようにスマホを用意することを約束した。

「おいおい、さくらもかんなもそんな安請け合いしていいのか? ま、俺の料理食べてくれるのは嬉しいけど」

「後悔しても知らないよー?」

 笑い声が帰り道に響く中、アイリスがひかりに手を差し出す。

「私、あなたがいなかったら今回の件は解決できなかった。これからは協力していこう、ひかりちゃん」

「よろしく、アイリス!」

 沈む夕日が握手を交わす二人を照らす。そんな中、かりんは一人だけ日陰に立ち葛藤していた。

「(本音を言えば仲良くなりたいけど……敵だったし裏切られた時が怖い……でもみんな仲良くなってるし……)」

新たな衣食住とスマホを得たひかりと、彼女と友情を築いたアイリス、そして洗脳が解けた夕香里、美少女3人とも救われましたとさ。

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