第弐拾弐幕の拾壱
施設単位だと連絡手段とかが時代遅れな場所ってまだまだあるよね。(2000年代後半に大学の英語の授業でカセットテープで録音させられた経験あり)
男子のため会場に入れない蓮と、学校に通っていないひかりは有事まで水崎家での待機となったが、それまでに何をすべきか困っていた。
蓮がスマホをいじっていると、ひかりは使ってみたいと言い出す。
「使ったことないのか?」
「フリージアはスマホ禁止だった」
「じゃあ何使ってたんだ?」
「必要最低限の機能しかなかったガラケー」
インターネットを介した危険性からの防護が理由の一つなのはわかるが、外部からの目線でフリージアは最新のテクノロジーへの対応が急務だと感じていた中、蓮は自分のスマホがひかりに勝手にいじられていることに気づく。
「何やってんだよ!」
「えーと、さくらに電話するには……」
画面の電話のアイコンを押し、さくらの名前を探して押すと、電話が彼女のスマホにつながる。蓮は慌ててスマホを取り上げて事情を説明して切ろうとするが……。
「蓮! ひかり! 今すぐ来て!」
呼ぶ声が聞こえるが、その直後に切れてしまう。かけなおそうとしたが電波が妨害されてつながらず、何かあったに違いないと二人は大急ぎで会場へと出発した。
日本5都市でオリエント・ゾディアックの2派閥による宝探しが始まり、両陣営の5名がそれぞれの都市を1人ずつに分かれて探索していた。そんな中、チュイは満身創痍と言わんばかりに木の棒を杖にして繁華街の裏路地をよろよろと歩いていた。
「カルネロの奴……こき使いやがって……!」
彼の大詰め「軽跳浮薄」は韋駄天のごとく素早く動けるようになるもの、それを利用して彼は尖兵とした多感な思春期の少年たちがしっかり任務を遂行しているか監視をさせる役を任されていたのだ。
「だいたい仙台から福岡まで飛行機で2時間はかかるってのに、何往復も……! なんとかMUJINAで場所を登録できたのが救いだけど……」
このままでは行き倒れしかねない、休息をとるべく東京にある本拠地へと戻ろうとすると、1枚のチラシが風で飛んでくる。
「? なんだこれ?」
内容を読んでみると、「女性のための社会を作る」という建前で書かれていたが年齢的に小学生の彼でも首を傾げる内容ばかりであった。
「どんな団体だよこんな変なの作ったの……」
チラシを丸めて捨ててから大通りに目を向けると、そこでは下は高校生から上は中年の多くの女性が飛んできたものと同じチラシを主に同性に向けて配っており、何も知らないふりをしてチラシを配る女性の前を通ろうとしたところ、声をかけられる。
「ねえ僕、男の子は女の子の言うことを何でも聞かなくちゃいけないと思わない?」
藪から棒に極端な質問を投げかけられ回答に困っているチュイに、別の女性がそれに勝るとも劣らない持論をぶつけてくる。
「日本は女性の社会進出が欧米諸国よりも遅れてるの、こんなのおかしいわよね?」
「今の世の中を牛耳っているおっさんにならないために、あなたも姫がお創りになる世界の礎となりましょう!!」
ガンギマリな目をギラギラさせた女性たちがチラシを無理やり渡して来ようと迫ってくる。得体の知れない恐怖にチュイは思わず大詰めを使って逃走してしまう。女性たちは彼の消えていった先に冷たい視線を送る。
「やっぱりオスは何歳でもオスね」
「ガキのうちに殺処分すべきね」
チュイ、あんた苦労人だね……。




