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華のお江戸の振袖小町  作者: 水虎
第弐拾壱幕「太陽」
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340/348

第弐拾弐幕の陸

くじ引きの勝者たちはというと。

 エリーが入院している高砂ガーベラ医療センターに到着したあおいたちは、退院の手続きを無事に終わらせてエリーとともに病院の廊下を歩いていた。すると一枚のポスターにかりんが足を止めた。

「へー、キャンペーンやるんだ」

 ポスターは献血をすると現在放送中のアニメ「ウサギちゃんと遊ばない?」のグッズがもらえるというもので、巨乳のバニーガールが大きく描かれた病院という場所には場違いで嫌でも目立ってしまう代物にあおいとかんなは赤十字社と出版社はなかなか大胆なキャンペーンを仕掛けてきたと面食らっていたが、かりんはそんなことないと否定する。

「いやいや、前からコミパの開催中に献血車が何台も来て、献血するとポスターもらえるキャンペーンやってるよ。それにコンビニとかでもアニメやゲームとのコラボはしょっちゅうやってるじゃん。これくらい普通だよ。もっとも、私は年齢的な都合で献血はできなかったけど……」

 コミパとは毎年夏と冬に都内にある巨大な国際展示場で開催される世界最大規模の同人誌即売会「コミックパーティー」のことで、かりんは中学生の頃からコスプレイヤーとして毎回参加している。彼女がコスプレイヤーとしての第一歩を踏み出した場所でもあり、そこから多くのイベントに参加していって知名度を得ていった。

「りんりん様、200mlなら女性は16歳からできますので年齢は満たしていますよ。それに献血は困っている誰かのためになる人道的に素晴らしいことでもあるだけでなく終わった後にお菓子や自販機がルームにあってお茶やドリンクとともに自由に召し上がれますよ」

 お菓子やお茶が自由に食べられる、この響きにかりんだけでなくあおいとかんなも魅力を感じ是非とも行きたいと思った矢先……。

「しかし……」

 彼女の小柄な体型を見て、年齢の条件はクリアできたが体重の条件がクリアできないことを悟り、それ以後の言葉は飲み込んだ。あおいとかんなは何が言いたかったのか察するが、彼女は小学生に間違われるくらい小柄なのがある種のアイデンティティでもあるため笑ってやり過ごした。

「振袖小町の皆さん、お時間いいですか」

 そこに、一人の少女が声をかける。あおいとかりんはエリーの前に立ちふさがる。声の主はひなたであった。

「あなたは……! 何の用? ここは病院だから大立ち回りはできないよ」

「今日はあなたたちと戦うために会いに来たわけじゃない」

「じゃあ何なの?」

 あおいの問いにひなたは言葉少なに返す。

「その献血のキャンペーン、気を付けておいた方がいい」

「待って、それはどういう……!?」

 気づくとひなたはその場から消えていた。彼女が残した意味深な警告が何を示しているのか、あおいたちはまだわからなかった。

不審な動きを繰り返すひなたの目的、そして本心は……?

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