第弐幕の拾弐
さくら大ピンチ、親友の出番です!
「離せ!」
あおいはさらに掴む手を強める。
「絶対に嫌! あなたの言ってること、全部自分勝手にしか聞こえない! さくらにとって誰が必要なのか、それはさくら自身が決めること! それに、さくらじゃなくたってあなたみたいな最っ低の男、こっちから願い下げ! 第一、さくらのことは誰よりも私が一番わかってるんだから!!」
男女間であれば完全に告白と言っても過言ではないほどのあおいのさくらへの友情にあふれた叫びが公園に響いた瞬間、ネガボットの肩に乗って商店街へと向かっていたチュイのズボンのポケットからあおいから奪った振袖のカケラが青く輝きながら飛び出してくる。
その向かう先は、あおいたちがいる公園だった。
「あっ! ……引き返すぞ!」
「ネガ!」
大急ぎで来た道を引き返すネガボット。しかしその動きは振袖のカケラが飛んでいくスピードには程遠かった。
向かってきていた怪物が引き返したことに商店街の人々は不思議がるが、危機が去ったことに胸をなでおろしていた。
「何しに来たんだろう……?」
「どっちにしろやばかったね……」
突然現れた怪物が襲ってくると思いきや、急にUターンを開始したためかんなと、野菜や果物を大量に入れた買い物袋を持った少女は首をかしげていた。このとき、当の本人は気づいていなかったが、彼女の上着のポケットの中で黄色い輝きがかすかにあった。
元の持ち主のもとに帰ってきた振袖のカケラは、あおいの右手に収まり、青い輝きはその強さをさらに増す。
「やっと追いついた……く、苦しい!!」
「チュイ! ぐ、これはいったい!?」
「ネガァァァ!!」
さくらの持っていた振袖のカケラが輝きだしたときのプチッツァと同じように、チュイとティーガー、そしてネガボットが苦しみだす。その苦しみようは、ティーガーが思わず自分の腕をつかんでいたあおいを振り払うほどだった。
それとは逆に、光が放たれた途端、崩れ落ちて立つこともままならなかったさくらが立ち上がれるほどに体力が回復する。頬にできた傷もあっという間に治っていた。
光が放たれた影響はライブビューイングにも及んでいた。視聴していたメンバーも画面越しの光でも浴びただけで苦しみだし、画面も砂嵐になってしまったのだ。ただ一人、カクテルを作るためにモニターに背を向けて光を直視しなかったボヴィーニだけは無事だった。
ある作品では親友ができたのに自分はできないという嫉妬心から覚醒するなんて展開がありましたが、さすがにあおいはそんなことはなかったですね。




