第弐拾壱幕の拾肆
新たな敵にも軋轢がある模様。
「恐ろしい相手だったね……」
「見て!」
あおいたちは脱出のためにひかりが破壊した窓ガラスが元通りに直っていくのを目の当たりにする。振袖小町が持つ闇を清める力が作用した、つまりナフ・ヴァルキリーとそれを率いる謎の存在「姫」は、オリエント・ゾディアックに続く振袖小町と敵対する勢力になることを証明していた。
命からがら逃げてきたさくらたちも、エレベーターに乗り込むまでに廊下に残っていた戦いの痕跡が消えていくことに彼女たちが新たな敵として立ちはだかろうとしていることを悟っていた。ビルの最上階から、彼女たちが帰っていく後ろ姿を苦々しく見ていた者がいたことも知らずに……。
「失敗したようね……まあいいでしょう」
新たな戦いが始まった、その余韻の中家路につくことになった小町部。そんな中、あおいはひかりの方を向いて疑念が拭えず仲間として迎え入れられなかったことを謝罪する。
「いいよいいよ、気にしてないから。それより、これからよろしくね、あおい!」
右手を差し出すひかり。それにあおいは応じ、握手する。
「もちろん! こちらこそよろしく、ひかり!」
出発前とは大違いの友情が芽生えたことが見て取れる雰囲気にさくらとかんな、そして蓮はほっとしていた。
「あおいとひかりが仲良くなって良かった! 仲良きことは美しきかな!」
一方アイリスとかりんはただただ目を丸くしていたが、彼女が本当に悪ではなくなった実感が少しわき始めていた。
「あおいちゃん、何があったんだろう……?」
「追加戦士って意外な一面があるのが定番だからねぇ……」
新たな脅威が姿を現し、勝利こそつかめなかったがそれを塗りつぶすような晴れやかな帰途となった。
その日の夜。薄暗い部屋に設けられた牢屋の中でひなたが両手足に枷を付けられていた。そこに、階段を降りる音がこだまして彼女は戦慄する。それからまもなく、一人の女性がかぐやを引き連れてやってくる。
「本当にあなたは使い物にならないわね! かぐや、やっちゃって!」
命令を受けたかぐやはにやりと笑いながら彼女の頭にリングを放ち、それを締め付けて彼女を苦しめる。自分で制裁を加えておきながら実行するのは他者にやらせる悪辣さには実際に加えているかぐやですらも彼女の性根のひん曲がり具合に恐れ戦いていた。
「申し訳、ございません……」
謝罪するひなたに、冷たい視線を注ぐ二人。
「あの子の洗脳が解けたのは想定外、とでも言いたいんでしょうけど、それならもっとしっかりとやることね」
ひなたはただうつむいていた。
「私はこの世界そのものの姫になる、あなたはその道を舗装するという神聖な務めを果たしているということを自覚すること、いい?」
それだけ言い残し、姫とかぐやは階段を上っていった。ひなたはそれを悲しそうな目で見つめていた。
「私は……こんなことしたくないのに……」
恐怖の悪女、それが姫。彼女の望む「女だけの世界」の真実は?




