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華のお江戸の振袖小町  作者: 水虎
第弐拾壱幕「太陽」
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330/337

第弐拾壱幕の拾

姫の恐るべき計画が明かされる。

「カルネロか、生きていたのか。チュイとボヴィーニもそっちにいるのか?」

 一度刃を交えたとはいえ、仲間の心配をするロンに対し、カルネロからの連絡は彼らにとっての新たな戦いの挑戦状であった。

「ご清聴ありがとう」

 恭しく礼を言った続きに放たれた言葉は、この世界の摂理を捻じ曲げ破壊する巨大な野望であった。

「私たちはこの世界を『女性だけの世界』にすべく活動しています。女の子たちを保護しているのもその一環」

 保護、という言い方に違和感を抱いたかんなが口をはさむ。

「保護? あんな胡散臭さ全開で、中で何してるか答えられないのに?」

 かんなに言われっぱなしの悔しさから、姫はヒステリックに彼女たちの拘束を命じる。

「お任せを」

 ナフ・ヴァルキリーの一人で、エメラルドグリーンのアオザイを模したFFVを身に纏っている飯田皐月が左手に付いた装置に右手を当てる。すると左手の装置にある宝石が光り、そこから重力波が放たれる。発射された先にいたかんなと蓮に命中する直前、振袖小町となったさくらが乱入して直撃は免れるが二人には重力がかかり自由を奪われる。ナフ・ヴァルキリーがNEWキモノの技術を盗用したことは実際のそれの活躍を見た振袖小町たちにも一目瞭然ではあったが、各自に能力が実装されていることには驚きを隠せなかった。

「振袖小町の皆さん。我々の目的に協力し、ナフ・ヴァルキリーに並ぶ私兵となっていただけるかしら」

 これまでの姫の言動とその一派による行動には義憤が高まっていたが、最後にさくらが質問する。

「一つ質問していいですか」

「どうぞ」

「女性だけの世界、ってことは男の人はどうなるんですか?」

 そこに、あおいが追随する。

「人間は男女両方がいて子孫を残すことができるようになってるから、それではすぐ人間が滅びるんじゃないでしょうか?」

 少女たちの疑問に、姫は自信満々に答えた。

「世界を創りかえてから最初に行うこととして、男、つまりオスは優秀な遺伝子を持つ者は家畜とし、それ以外の者はすべて殺処分とする予定です。もちろん、生まれてきた子供がオスだった場合も例外ではない。ゆくゆくは女性のみで子孫を残せるようにホモサピエンスという種を改良する予定です」

 高らかな宣言にナフ・ヴァルキリーは拍手喝采。その隙に、蓮たちにかかっていた重力が元に戻る。一気に重力が軽くなった影響で蓮のかぶっていたウィッグが外れ、彼の正体が姫に露見する。

「しまった!」

「……あなた、私をだましていたのね!!」

「姫」と名乗るだけある気品のあった泰然自若さが嘘のように蓮が男だったことに怒り狂う姫。激怒していることはスピーカーの向こうからでもよくわかるほどであった。

「姫、落ち着いて……」

「うるさい!!」

 彼女の理想郷を作るために描かれたプロセスと、怒髪冠を衝いている彼女の金切り声は、振袖小町とその仲間にとって、一切の価値観を共有することは不可能なことを悟った瞬間であった。

女の敵は女ではなく頭のおかしい女だと私は考えております。

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