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華のお江戸の振袖小町  作者: 水虎
第弐拾壱幕「太陽」
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328/332

第弐拾壱幕の捌

謎の団体が動き出す。

 遂に本来の目的である代表との「謁見」の場である応接室に辿り着く。しかし、ひなたがドアを開けた途端に彼女は倒れてしまう。その途端、室内にいた8人の女性が向かってきて2人を一斉に取り囲む。

「すみません、この人疲れてるみたいなんで休ませてあげてください」

 さくらが一声かけて、蓮が彼女の体を起こそうとすると、それを制止させる声が天井に設置されたスピーカーから響く。

「そんな役立たずは放っておきなさい。私はこれから振袖小町と話があるの。お引き取り願えるかしら」

 部外者はおろか身内に対してあまりにも冷たい対応にかんなはいつもより低めの声で返答する。

「その声、もしかしなくてもあの動画の『姫』? 自分のことを姫って言ってるけど、そう名乗るくらいなら誰に対しても気品のある高潔な態度を取るべきじゃないの?」

「そもそも見学者に姿を見せないのは失礼だと思う」

 ただの見学者だと思っていた地味な格好の少女だと思っていた相手による思わぬ反撃に、代表は声を荒げる。

「あなたたち! この3人を捕らえなさい!」

 姫はスピーカー越しに取り囲んでいた8人に命令する。

「「「「「「「はい、我が姫」」」」」」」

 8人は左手首に付けられたブレスレットを胸に構える。

「「「「「「「「革新」」」」」」」」

 ブレスレット中心部にある結晶に右手の人差し指と中指を当てる。すると、一瞬で彼女たちの着ていた服がそれぞれの私服から世界の民族衣装を模した中にメカニカルなデザインが施された戦闘服へと変わっていた。それぞれサラファン、アオザイ、ディアンドル、サリー、ベラと呼ばれるベリーダンスの衣装、フラメンコドレス、ブーナッド、そしてチマチョゴリがモチーフとなっており、敵対していることを除けば壮観と言える並び立ちだった。

 金丸ファウンデーションがこれまでの振袖小町の戦闘データをもとに現代の技術をもってして製造した人工の振袖小町の着物「NEW(Next Era Wish)キモノ」を技術盗用した「FFV(femme fatale vêtements、ファム・ファタール・ヴェトモン)」は、わずか1ミリ秒で装着を完了する。では、装着プロセスをもう一度見てみよう。

 彼女たちがブレスレットの水晶部分に右手人差し指と中指を当てると、非使用時に飾られているショーケースからそれぞれの衣服が粒子状になって消えていく。すると、本体と腕部の2つに分割される。本体から放たれた光の粒子が靴部分を形成する。

 まず、本体がそれぞれの衣服を着るときの要領で彼女たちの体を縛り付けるようにして纏い、体から数ミリ浮いた状態で固定される。この際に彼女たちが着ていた衣服は粒子状になって消える。

 次に腕部と靴部分が彼女たちの前腕と足に向かって飛んでいき、先に腕が本体と同じプロセスで固定されてから、腕部パーツが彼女の体を持ち上げ、空中に浮かんだ状態の彼女たちの下に入り込んで靴部分を履かせる。

 そして手首についていたブレスレットが変形し、大型の射撃機能を備えたガントレット「ピュイサンス・ファム」となり、その端に付いた持ち手を左手でつかみ、ゴーグルのついたヘッドセットが頭にがっしりとしがみつくように装着される。

 これにて装着が完了。彼女たちの武装した状態を、「ナフ・ヴァルキリー」と呼ぶ。

 3人はそれに酷似したものをつい先日見たばかりだった。かんなは苦しそうな顔で倒れているひなたの顔を見て、罪悪感を帯びている表情をしていることを感じ取った。

「(あれって、NEWキモノに似てないか……?)」

「(間違いない、同じ技術のはず)」

「(なんでそんなものがここに……? この団体って……?)」

 全方位を囲まれているかんなの目は、倒れているひなたに向けられていた。満身創痍の彼女の表情は、どこか罪悪感に満ちているようだった。

案の定ヤバい団体でした。しかし金丸ファウンデーションの技術者が手を貸しているのか?

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