第弐拾壱幕の参
敵同士だったからわだかまりはあって当然。
小町部はひかりにこれまでの自分たちの歩みを説明しつつ、拠点となっている伊吹神社に集合した。
「鳥羽ひかりさん。率直に質問するけど……あなたは本当にもうプチッツァじゃないのよね?」
あおいの疑問に、ひかりは翼を出して見せようとするが今はもうそれができないことで証明しようとした。しかし、できなくなる演技をしているだけで本当はまだできるのではないかという疑念が払えなかった。
「じゃあこれでわかるでしょ」
そういってひかりは、蓮の手を取って自分の左胸に当てた。思わず蓮はそれをつかんでしまう。
思わぬ形で異性の体を触ることになってしまった蓮は困惑と驚きが頭を占め、オーバーヒートしてその場で倒れてしまう。
「ちょっと!! 蓮は男なんだから気軽に触らせちゃダメでしょ!?」
「あおいちゃん、女同士でも駄目だから」
彼女の思惑は理解できたが、あまりの羞恥心のなさに注意する。一方のひかりは何かおかしいことをしたのかときょとんとしていた。
「で、どうだったの!?」
「柔らかかった……」
倒れている蓮は遺言の如くそれだけ言い残して気絶した。ご丁寧に血流は下半身に集中していた。
「ダメだこりゃ」
あおいはあきれてものも言えなかった。
「とにかく、背中からは翼はもう生えてこないし、心臓もちゃんと動いてるってことでいいんだよね?」
さくらがフォローしそれに首を縦に振るが、あおいたちは半信半疑であった。
気絶した蓮をさくらとアイリスが肩を貸して、小町部はひかりの挙動に細心の注意を払いながら賽銭箱の下にある隠し階段から衣桁が飾られた部屋に移動する。
前よりもたくさんの振袖のカケラが集まった衣桁の前にひかりが立つと、銀色の光が衣桁から放たれる。かつての自分たちと同じことが起こったことに彼女が振袖小町として認められていることを感じ取るも、理屈に感情が追いつくのはまだ先だった。
ある程度の納得ができたあおいたちは地上へと戻るが、まだ意識を取り戻していない蓮の体を起こそうとしたとき、さくらには衣桁が一瞬だけ紫色の輝きを放ったように見えたが、きっと気のせいだろうと思いそのままその場を後にした。
本当の意味での仲間入りはいつになるのか。




