第弐拾幕の拾弐
さあ盛り上がってまいりました!
「えっ……!?」
かんなの目の前に、ひかりとイナリが現れる。目の前にいるのが誰なのかすらわからなくなっているハンジールを除く当事者たちは皆目を丸くする。
「ひかり……どうして……!?」
「説明は後!」
何が起きたのか混乱するが、イナリに制される。もっとも、こんな状況で長々と説明している場合でもないのだが。
「ボクはこれまでたくさんの許されないことをしてきた……だから! 罪を背負いながら苦しんでいる人を助けたい! これ以上、誰かが悲しむ顔は見たくない!!」
ひかりの手には、銀色の水晶がついた簪があった。しかし、宝玉は他の振袖小町のものとは違い六角形であった。
「開花!!」
気持ちを集中させて叫んだひかりは、銀色の激しい光に包まれた。次の瞬間には、彼女は銀色を地にして黒い差し色が入った着物ドレスのような服を身に纏っていた。
「ボクが……振袖小町に……」
感慨深さと自分が本当に振袖小町になっていいのかという半信半疑が入り混じった声でつぶやく。
廃屋では新たな振袖小町が現れたことに衝撃が走っていた。
「どういうこと……!?」
「あの顔は、プチッツァ!? 振袖小町にやられたはずじゃ……」
「どちらにしても動向には気を付けないといけないな」
それだけ言い残し、カルネロは席を立った。部屋を出て数歩、ずっと部屋の外にあった人影を彼は見逃してはいなかった。
「それと、こちらの仕事ののぞき見や人の話を盗み聞きするのはいい趣味とは言えないよ」
ここまでの展開をずっと盗み見し続けていたが、たまたま通りかかったかのようにやり過ごそうとした石神には一言釘を刺した。最初から自分の行動がバレていたことに悔しさから歯をかみしめる。
「それと、諸君らに次にやってもらうことが決まったよ。あのじゃじゃ馬娘や我が愛弟子たちにも伝えておいてくれ。内容はだな……」
伝えられた内容のあまりの突飛さに石神は驚きを隠せないまま、彼の背を見送っていた。
まだお楽しみは取っといておきましょう。




