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華のお江戸の振袖小町  作者: 水虎
第弐拾幕「白銀」
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第弐拾幕の漆

感動の再会と醜いお家騒動。

「パパ、ママ……」

「ひかり……」

「会いたかったよ……大きくなったね……」

 ひかりの両親、鳥羽(かける)とその妻千鶴(ちづる)は成長した愛娘を優しく抱きしめる。思っていたよりもかなり早い再会になってしまったが、今はこうして再び会うことができた喜びで心が満ち溢れていた。ひかりも、写真でしか見たことのなかった両親の顔を、聞いた記憶はなくとも聞き心地がよく安心する声を見聞きして記憶に焼き付けることができた瞬間でもあった。

 しかし、一度死んで蘇った後にお世辞にも褒められたものじゃない行為を繰り返して世間を混乱させた自分がなぜ地獄ではなくここにいるのか聞くと、ひかりの母はこう返した。

「きっとそれは、まだあなたがやり残したことがあるからじゃないかな」

 今の彼女にその意味は分からなかったが、そういうものなのかと疑問に思いつつ言葉を受け止めた。

 その直後、今まで大変だったねと両親に労われる。一体何があったのかと尋ねると、自分の出生と両親との永遠の別れまでの顛末、そしてそこから始まった人間の醜さをひかりはそれを天国で再会した両親から初めて耳にした。

 ひかりの両親の死後、まだ幼い彼女の保護者をどうするか決めなければならなかったが、そこで大きな問題が発生した。

 駆け落ちした二人は、どちらの家にとっても勘当したも同然の状態であり、血のつながった縁戚者であったとしてもその間に生まれた、つまりどちらにとっても憎悪の対象である家の血を引いている彼女は自分の一族とはいえ所謂忌み子、邪魔者でしかなかった。

「こんな子うちはお断りだよ」

「うちだってごめんだ」

「いやいや、勘弁してくださいよ」

 本人に罪はないにせよ、「生まれてきたことが罪」とすら見られるような子を育てたいと手を挙げる親族など両家ともに現れるはずもなく、無理やり押し付け合う所謂たらい回し状態にされた時期が長く続いた。仕方なく預かった親戚たちからは心理的、肉体的両面での虐待こそ免れたが、そこに愛情が存在していた時期はどの親戚も皆無であった。

 彼女が3歳になった頃、当時預かっていた親戚がフリージアの存在を知り、彼女を連れていったところすんなり入所が決まる。入所当日は厄介払いとでも言わんばかりに別れの挨拶もなく淡々としたものであった。

 同じ日に、同い年で同性の入所者がいたが、彼女は少なくともひかりにとっては人生で初めての友達になった。

 それまでの親戚というただ血がつながっているだけで情のかけらもなかったたくさんの人々の間を行き来させられていた頃とは違い、周りの人々が自分に無条件で優しくしてくれることに衝撃を覚えたことは物心がついたときのファーストインプレッションだったことはおぼろげながらも記憶に残っていた。

今時駆け落ちってあるのかなぁ……。

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