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華のお江戸の振袖小町  作者: 水虎
第拾玖幕「救済」
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303/327

第拾玖幕の拾参

さくらとプチッツァ、そしてセルペンテは無事なのか!?

 廃研究所を襲う炎はあおいとキマによる懸命な消火活動と強い雨がプラスに働き鎮火の方向に向かっていた。

「青い振袖小町、助けに行きなさい。あとはあたしだけでなんとかなるわ」

 あおいはキマの言葉に従い、さくらとプチッツァが落下するであろう地点まで駆けつけ、地面すれすれの場所に雨を一点に集中させる。一方のキマは気がかりがありながらも消火の仕上げに取り掛かっていた。

「(あの命知らずはいつになったら戻ってくるのよ……? 中から黒焦げの死体が発見されましたなんてオチは勘弁してちょうだいよ?)」

 そう思った矢先、廃研究所内からかすかに聴こえてきた音にキマは耳を澄ませる。その正体に気づき、キマは胸をなでおろした。

 ためる空間がないにもかかわらず、雨水や地面にできていた水たまりを利用して大きなプールのような立体的な水の塊をあおいは形成する。彼女の思惑通り、二人は大きな音と水しぶきを立てて落下し、竜胆が水面にまっすぐ刺さった。

 鎮火完了直後、見るも無残な姿になった廃研究所の中から一筋の光が見えてくる。その光源は、表面が焦げたギターケースを背負ったセルペンテが乗るリリーワイバーン号だった。あまりにも無謀な賭けに勝った彼は、約束を果たすためにそのまま持ち主の元へ急ぐ。ロンは呼び止めようとしたがもう彼の姿はなく、走り去っていった道をじっと見つめることしかできなかった。

 激しい戦いを終えた二人のもとに敵味方問わずその場にいた全員が駆けつける。一命を取り留めたエリーは、キマによって肩を貸されて向かった。

 即席で作った人命救助用の大きな水の塊はすぐに形が崩れ、二人は地面に倒れこむ。さくらが差し伸べた右手はしっかりとプチッツァの左手を握っていた。

 さくらの手首にゴーダが指をあてて脈があることを確認、あおいとティーガーをはじめとする一同は胸をなでおろす。しかしプチッツァは無理やり外部から多くの力を得たうえで自分自身の力も大量に使い、この戦いでどちらも使い果たしたため全身に大きな負担が一気にかかって体中にひびが入り、中から虹色の光があふれ出る。一緒に赤、青、黄、緑、そして黒の気体が彼女の体から抜け出て、黒を除く気体はそれぞれ同じ色の振袖小町の体内に吸収される。黒い気体だけは居場所が見つけられずどこかに消えていった。

「ひかり!」

 プチッツァのもとにかんなが駆け寄り、彼女の右手をぎゅっと握る。

「ごめん……あたしが間違ってた」

 涙を流すプチッツァに、かんなももらい泣きする。

「大丈夫。あたし、死ぬの2回目だから」

「何言ってるの! もう悪者やらなくていいんだよ! また一緒に話そうよ!」

「……ありがとう、あたしの人生、最後の友達……」

 最後に一言いい残し、事切れる。その直後、彼女の体はまるでガラスのようにバラバラに砕け散り、残ったのはのぞき込むと鳥が映っている振袖のカケラだけだった。

一人の少女が、再びその短い生涯を終えた……。

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