第弐幕の捌
ここまでは追う側の描写でしたが、その間逃げる側は何をしていたのかをご覧ください。
公園では、中心部にあってシンボルとなっている噴水の前で少女が時計を見て今か今かと待ちぼうけていた。
すると、彼女の前に一人の少年がやってくる。馬場だ。
「悪い、待たせたよね?」
「えっと、馬場君、今日呼んだのは……えっと……」
なかなか言葉が出ない少女。思い切って気持ちを伝える。
「ずっと馬場君のことが好きでした、付き合ってください、お願いします!」
一世一代の大勝負とも言える告白だった。しかし……。
「気持ちはとっても嬉しいんだけど、俺好きな人いるんだ。ごめんなさい!」
頭を下げて断る馬場。気まずい空気が公園に漂う。その空気を、木から降りてきた一人の少年が引き裂いた。
「そこのお兄さん、よく告白を断ってくれたね! ありがとう!!」
たった今交際を断られ呆然としている少女に対してのあまりにも無神経かつ泣きっ面に蜂な発言、これが決定打となり、少女は泣き出してしまう。
「これは僕からの失恋記念プレゼントだ!」
チュイは赤いランプが灯っているネガボットの素体となる立方体と、噴水から拾った振袖のカケラを少女に向けて投げつける。
「負の感情よ、その姿を顕現せよ! はっ!!」
チュイの叫びとともに少女の身動きがとれなくなり、そして少女の口から出た黒い煙と合体し、それらは噴水に体と手足が付いた姿のネガボットとなる。
「ネガー!!」
公園でネガボットは暴れ始め、辺り全体に水をまき散らす。意識を失って倒れた少女を、馬場は揺り起こそうとする。
「高田さん! 起きて!」
しかし高田は目を覚まさない。
「なんかよくわかんないけど、よくも高田さんを!」
馬場は足元に落ちていた大きな石を拾って砲丸投げの要領で力いっぱいネガボットに投げつける。その衝撃でほんの少しではあるがひびが入ったが、その代償として跳ね返された石は馬場の左手に当たり、内出血で紫色に変色した。
そして公園から避難するために、手の痛みをこらえながら馬場は高田を背負って公園から逃げようとするが、殴られた仕返しにネガボットに襲われ気を失う。ほかの公園にいた人々も、ネガボットの放つ水の水圧で次々と倒れていく。
皆さん気づくとは思いますが、この作品の登場人物は最初期に構想した人物を除くと東京都内の駅名からとっています。高田さんと馬場くんの結末やいかに?




