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華のお江戸の振袖小町  作者: 水虎
第弐幕「知略」
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第弐幕の漆

人を探すって結構大変ですよね。そんなときに役立つのは目撃情報、つまり人です。

「それに、今はイナリだっているんだ。負けるはずがないぜ!」

「任せてよ!」

「だよね! そう言うと思った!」

 納得するあおい。双子の意思疎通は伊達ではない。

「ねえイナリ、取られた振袖のカケラの反応ってどっちにあるかわかる?」

 さくらの肩掛けカバンの中に入り、顔だけ出しているイナリにあおいが聞く。

「やってみる。むむむ……」

 イナリは振袖のカケラがどこにあるのか調べるために額の石に神経を集中させる。数秒後、石がうっすらと赤く光る。

「わかった! あっち!」

 カバンから手を出し、指し示す。その方向は、神社を出て右側だった。

「あっちは……商店街や公園がある方ね。木を隠すなら森の中って言うし、人間を隠すなら人間の中だと思う。商店街をまず探してみよう」

「「「おー!」」」

 あおいが持ち前の頭脳を駆使して作戦を立て、神社の前にある道を右に曲がって商店街へと向かう。

 チュイは中央に大きな噴水がある公園にいた。噴水にたまった水の中にあった振袖のカケラを見つけ、それを拾う。

 彼は公園で最も高い木に登り、公園の全体を見渡していた。するとそこに、一人の少女が噴水の近くにやってくる。

「ドキドキする……」

 耳をそばだてて少女の言葉を耳にして、彼女がこれから何をするのか気づき行く末を木の上から見守ることとした。彼の手にあったネガボットの素体は、ランプが赤く灯っていた。

 個人経営の店が軒を連ねる昔ながらの商店街は、たくさんの人でにぎわっていた。ここで三人はそれぞれ目撃情報を求めて聞き込みに回る。

 さくらが聞いた相手は、登録番号が付いたプレートがついている帽子がよく似合っている顔なじみの青果店の店主だった。

「いらっしゃいさくらちゃん! 今日はニンジンとキャベツが安いよ!」

「おじさん、このあたりで小学生くらいの男の子見なかった?」

「見てないねぇ、ごめんな。……いらっしゃい! 土屋さんとこのお嬢さんじゃないか! なんか買ってくかい? いい野菜入ってるよ!」

 さくらは青果店の店主に頭を下げて次の相手に聞きに行き、八百屋は昨日学校でさくらたちを微笑ましげに見ていた金髪碧眼の少女を相手に接客を開始する。口には出さなかったが、彼女たちはお互いに目に入ったお互いの姿に既視感を覚えていた。

 目撃情報を聞く相手を探している蓮に、買い物に来ていた少年が声をかける。

「よう蓮! 買い物か?」

 彼の名は馬場祥太。彩羽高校2年A組で、陸上部である。蓮は1年生の時に陸上部の大会に短距離走の助っ人として参加したことがあり、彼とも顔見知りである。

「いや、人探ししてんだ。このくらいの背の高さの小学生男子見なかったか?」

 手で身長の高さを表現しながら聞く蓮。しかし彼も、チュイのことは目撃していないという。

 そして馬場は蓮に手紙を渡してから、商店街の近くにある公園へと行くと言い、去っていった。渡された手紙の包装を見て、蓮は慣れた手つきでしまった。

 目撃情報の聞き込みのために歩いていたあおいは、喫茶店の前でばったりかんなと会う。

「あおいっちじゃん! 何してんのー?」

「ちょっと人探しをね。この辺で小学校高学年くらいの男の子見てない?」

「見た見た! 足速い子でしょ! 公園の方に向かってた!」

 かんなからの有力な情報を入手し、それをさくらと蓮に連絡し、商店街の公園に近い側の口に集まってから急いで向かう。

尋ね人を見つけられるのか、続きをお楽しみに!

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