第拾捌幕の拾参
心中複雑な再会。
幹夫に諭されてからしばらく病室で一人で頭を冷やしていたさくらのもとに、思わぬ人物が見舞いに来る。
「あおい! ……とあなたは!」
右腕をあおいにしっかりつかまれながら、ナースステーションであらかじめもらっていたゴム手袋を手錠の如く両手に装着させられたティーガーがさくらの入院している病室に見舞いに来ていた。
「……大河くん!」
ベッドから飛び起きたさくらはティーガー、いや、大河に抱き着いた。
「会いたかった……会いたかった……!」
あおいはその姿を見て感動の再会を喜びたい気持ちはあったのだが今の彼は振袖小町の、そして個人的な意味でも敵である以上まったく油断はできないとやきもきしていた。しかしさくらも彼の体からは温もりを一切感じないことがわかり、目の前の光景は夢かもしれないと思い自分の頬をつねった。痛みを感じ現実だと理解するも、なぜ彼は今ここにいるのか、疑問を抱えながらの再会だった。
「ようやく思い出してくれたか……」
大河としての再会ではあるがティーガーとしての想いの結実に感無量の彼は、死んだはずだったのがなぜ今こうしているのかさくらに語ってから、神妙に今の事態について語り出す。
「今のプチッツァははっきり言って自棄になっている。今は少なくとも俺はお前たちとは一時休戦だ、行こう」
手を差し伸べるティーガーに、さくらは回答を出せなかった。今自分に差し伸べられている手は大切な幼なじみである蓮を傷つけた手であり、その手の持ち主と共闘することはもちろん、今の自分がどこまで力になれるのかがわからないからだ。
回答をためらっているところに、イナリが大慌てでやってくる。
「大変だ! アイリスとかりんがオリエント・ゾディアックの基地を突き止めたけど、苦戦してる!!」
緊急事態が発生した。ティーガーにアジトの場所を聞いてからさくらがエリーに連絡して、あおいは彼とイナリの案内のもと敵陣へと向かうことになった。
「待って!」
出発しようとするあおいにさくらが声をかけ、今の自分がすべきことのために行かなければならない場所がどこにあるのかを尋ねた。
「(あおい、絶対帰ってきてね……!)」
彼らの背を見送ったさくらは、自分も振袖小町だから這ってでも戦いに向かわなければと駆られていた焦燥感が、なくなっていたことに気づいた。それは今行かなければこれからの人生で絶対に後悔するという思いに変わり、病室を出て目的地へと駆けていった。
主人公の宿命である葛藤、どこまで続くか。そしてそこから出す答えは。




