第拾捌幕の拾弐
敵の本拠地突入って熱いよね。
かりんはイナリを連れたアイリスと途中で合流し、廃研究所の前に到着していた。
「ここがあいつらの……!」
「行こう!」
改めて覚悟を決め、中へと入っていく。薄暗い屋内を注意深く進んでいくと、中から声が聞こえる大きな部屋を見つける。
アイリスが勢いよく扉を開くと、そこはこれまで作戦会議を行ってきていた会議室で、中にはロン、ゴーダ、キマが待ち構えていた。
「あら、招かれざる客人のお出ましね」
「そっちは2人、こっちは3人だ。勝てるとでも思ってるのか?」
それぞれ武器を構える振袖小町に対してゴーダとキマが立ち上がるが、ロンは立とうとはしなかった。
「俺は遠慮しておこう」
その場にいた全員が疑問を浮かべる判断をするロン。「人数で公平性を欠く」ことを正々堂々と戦う彼の流儀に反するという理由でこの戦いには一切手を出さないことを宣言した。その代わり、振袖小町側がロンに少しでも攻撃を当てることができれば彼女たちの勝利、ゴーダとキマはロンを守り切り振袖小町が力尽きた場合オリエント・ゾディアック側の勝利となる変則タッグマッチが行われたのである。
体全体に対して平行で、そこから視界に入ってくる空は、これまでの人生で目にしてきた中でも、最も美しいと感じた。だが、これは生涯で最後に目の当たりにする空であることも落ちていきながら悟っていた。
「永遠にさようなら、私を親友だと勝手に思い込んでたお馬鹿さん!! ……あっ!!」
かぐやは倫理の一線を越えてしまったことよりも、右手にさっきまであった力の源が消えていることに気が付き、急いで屋上を後にして探しに行った。
地面に背中を強く打ち付け、激しい痛みで動くことができない彼女は、意識がだんだんと薄れていく。
「(ははっ、友情なんて、そんなものは儚い幻想でしかないんだ……バカだなぁ……)」
そのままゆっくりとふわふわした感覚に包まれていきながら力尽き、だんだんと重くなる瞼が閉じられていく。
「(死ぬって、こんな感覚なんだ……。もっとおばあちゃんになってから知りたかったな……)」
涙がうっすらと最後の輝きを放つ。それは、かぐやが握りしめていたがひかりとともに地面に落下した振袖のカケラに落ちていった。するとそれが少しずつ輝きを放ちだし……!
「で、見事に一度死んで蘇りましたとさ。フリージア的にはいろいろめんどくさいみたいで、公には行方不明扱いみたいだけど。覚えてるのはここまで。どう? かわいそう、とか惨め、とか思ったでしょ? 同情ならいらないからね」
自分の人生に起きた大きな出来事だというのにどこかドライな彼女にかんなが取った行動は……ぎゅっと抱き留めることだった。
こんな過去があれば精神荒んでも無理なし。かんなさん優しいねぇ……。




