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第拾捌幕の壱
新しい話のスタートはちょっと短め。
起きてはならないことが起こってしまった。2つも同時に。あおいの心中はそれ一色であった。
悲劇から一夜が明け、蓮は病室のベッドの上で目が覚める。視界には今にも泣きそうなあおいと2人の両親が彼の容態を案ずる表情で彼を見つめていた。
「ここは……?」
視界には知らない天井。寝ている場所はいつもと違う感覚。しかし見慣れた家族が思いつめた表情で目の前にいる。自分が今どこにいるのか、そしてその理由もおのずと理解した。
「蓮! 心配かけないでよ!」
あらゆる気持ちを押し殺し、涙を目に溜めて強がるあおい。蓮はベッドから起き上がってあおいの手を握ろうとするが、痛みが背中を走り思わず声が出てしまう。
「まだ無理しちゃダメ! ほら寝てて!」
「……さくらは?」
蓮は一言尋ねるが、あの後何が起きたのかを包み隠さず話す勇気は今のあおいにはなかった。
彼が入院している「高砂ガーベラ医療センター」の別の階では、昨日から一人の患者が新たに入院することになった。
その患者の名は……火宮さくら。
あんな事態になってしまっては入院を余儀なくされて当然。肉体的にも精神的にもきつすぎる。




