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華のお江戸の振袖小町  作者: 水虎
第拾漆幕「邂逅」
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第拾漆幕の拾陸

物理的にも精神的にも大ピンチ。

「みんな、姿勢を低くして口にハンカチを当てて!」

 炎の勢いが強まり子どもたちが不安を隠せなくなり、泣き出す子まで現れてしまう。桃香はその対処と避難誘導に追われるが、子どもたちが避難している集会室に一つの大きな影がやってくる。その影に桃香は恐怖を抱くが、子どもたちはヒーローがやってきたかのように不安が払拭され笑顔を取り戻す。

 この緊急事態の中、屋上ではひとつの取引がなされていた。

「うん、あたしはいい。だからなるはやで火を消して」

「……やむを得ません。ただし、お嬢様には一切の手出しをしないこと。それと、マスコミなどにリークをしないこと」

「交渉成立だね。じゃ、今から何とかしてあげる」

 黒い翼と青い翼を背中から出したプチッツァは火災現場の上空まで飛び、こっそり空から黒い翼の羽根を落としておいてから消火活動を開始する。

 一気に炎は消され、一人の犠牲者も出すことなく鎮火。幸い施設への被害も最小限に抑えることができた。炎の中心にいたさくらと蓮もその影響はなかった。しかし、さくらは蓮を抱きしめながら未だ泣き続けており、救急車が到着してもなかなか彼を離そうとしなかった。あおいの説得で蓮を救急搬送することはできたが、それでもさくらの涙は止まる気配を見せなかった。

 エリーが屋上から戻ってくるが、主人との合流ではなかった。

「かんなちゃんは……?」

「それが……」

 心底申し訳なさそうな顔で口ごもる彼女を見て、何も言わずに察する一同。泣いているさくらは自分の責任だと感じエリーの顔を見ることができなかった。

 救急車とともに到着した警察に烏山は逮捕される。エリーの方を向いて睨みつける彼のことなど今の彼女は全く意に介していなかった。

 同時に2つの新たな問題が立ちふさがった。フリージアに巣食う闇の元凶を特定し、あぶり出すことはできたが、小町部のボランティア活動はできずに幕を閉じた。持ってきた衣装やサッカーボールは目的を果たせぬまま、ワンボックスのトランクの中で本来の役目を果たすことができずに手持ち無沙汰にしていた。

 目的と契約内容を果たしたプチッツァは、約束通り交換条件を手にできたが反抗した手前大っぴらに廃研究所には帰れず、かといって野宿というわけにもいかないのでスパイのごとく気配を消しながらの帰還となる。

「めっちゃアガるんですけど」

「黙ってな」

 自分がスパイ体験をしているかのような気分になりテンションの上がる人質に、金属質の羽を喉に突き付け黙らせる。

 彼女の部屋に連れていかれ、手足に黒い翼の力で錬成した金属で作った枷をつけられて軟禁されるかんな。

「ただこんなとこにいてもつまんないでしょ? いいもの見せてあげる」

 炎の中に放ってから回収し、赤い色が付いた羽根を体に取り込んだプチッツァは、これまでの5枚とともに6枚目の赤い翼を背中から出して見せた。

今回は1話では完結しません。

次回はどう展開していくか、お楽しみに。

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