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華のお江戸の振袖小町  作者: 水虎
第拾漆幕「邂逅」
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第拾漆幕の拾参

劣勢の振袖小町を襲う牙。

「エリー、大丈夫!?」

「問題ありません」

 口ではそう言っていても傷ついているのは明らかだった。

「ちょっと!!」

 突き飛ばされたエリーの前に、さくらとかんながプチッツァの目の前に立ちふさがった。

「何? 私に用でもあるの?」

「あるに決まってるじゃん!」

「プチッツァ……いいえ、鳥羽ひかりさん。何があったのか私たちに全部教えて。……ダメかな?」

 さくらは懇願するが、彼女に名前で呼ばれ、プチッツァはこれまでにないくらいの怒りを込め絶叫する。

「……私をその名前で、呼ぶなああああああああ!!!」

 グラウンドにまで響き渡る絶叫とともに2枚の黒と青、黄、緑の5枚の翼が背中から飛び出るとともに、色とりどりの大量の羽根が抜け落ちて宙に舞う。翼が飛び出てくると同時に衝撃波が放たれ、屋上にいた小町部側の3人と1匹はみな空中に飛ばされてしまう。

「さくらはどこだ、さくらはどこだあああああああ!!!」

 ティーガーが現れたグラウンドでは、さくらがその場にいないことがある種のバフとなってネガボットとの戦いで消耗していたアイリスを電撃でなぎ倒す。彼女は変身が解除され、その場に倒れこむ。

「おい! さくらはどこにいる!!」

 アイリスを片付けるとすぐさまティーガーはあおいのもとに走って向かっていき、左手で彼女の胸ぐらをつかむ。しかしあおいは毅然とした態度で言い返す。

「あんたにだけは絶対に教えない!!」

 足が宙に浮いていながらも、あおいはティーガーをにらむ。

「蓮兄ちゃん! 青い振袖小町が別の悪い奴に襲われてる!」

 刑事ドラマの如く、部屋のカーテンの隙間から外を見た次郎が蓮に報告する。幸い、かりんやアイリスが力尽きているところは彼の目からは死角になっており、振袖小町の正体は子どもたちにバレなかった。

「先生! 俺、助けに行ってきます!」

 桃香の慌てる声など耳に入らないまま、振袖小町以前に一人の少女である彼女を救うために蓮は部屋を飛び出し、ひたすらに駆けていく。

「(金丸さんのお家のメイドさんもだけど、みんなどこ行っちゃったんだろう……いやいや、私が不安そうな顔しちゃダメ!)」

 今は来客という立場だが、未成年を相手にする職に就いている者としての矜持を胸に桃香は自らを奮い立たせ、子どもたちを守るため自分のできることをしようと改めて心に誓った瞬間であった。

 ティーガーがグラウンドで暴れていることは、空中に飛ばされ自由に動けないさくらにもわかっていた。そこに運よくイナリの前足がさくらの手につかまり、彼の額の石が光ると、彼女の体がゆっくりと地上へと降下していく。着地先は、ティーガーとあおいがいる目の前であった。着地に成功した直後、さくらは元の姿に戻る。

「ティーガー! あおいから離れなさい!!」

 愛しの相手が天から舞い降りたことにティーガーは天にも昇る気持ちになり、彼にとっては些末なものでしかないあおいを掴んでいた手をあっさりと放す。かりんとアイリスよりは体力が残っていた彼女は変身こそ解除されずも、崩れるように地面に座り込み、そのまま立ち上がれなかった。

何も知らない白川桃香さん側も不安になる展開。

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