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華のお江戸の振袖小町  作者: 水虎
第拾漆幕「邂逅」
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第拾漆幕の拾

思わぬ再会は大きな運命を進める。

 理由まではわからずとも、呆然とするかんなとエリーには避難誘導は不可能と判断し、あおいとアイリスが蓮とともに子どもたちを避難させていく。

 子どもたち全員が避難し、操られた職員たちがそれを追いかけていったことを確認したところでさくらとかりんは振袖小町となりプチッツァと戦闘を開始する。

「ここ狭いし、場所をかえよっか。ラパン、先に行ってるね」

 体育館の窓を破り外に向かって飛んでいくプチッツァ。その姿に、エリーは涙していた。

「(こんな形で、あの子の夢を目にするなんて……)」

 しかし、そこでかんなが立ち上がる。

「エリー! 何めそめそしてんの! 事情はよくわかんないけど、あの子のこと知ってるなら行くよ! なんでこんなことしてるのか聞こうよ!」

「……申し訳ございません。参りましょう」

 かんなが彼女を目にしたときに前々からの知り合いではないような口ぶりをしていたことに疑問を覚えながらも、立ち上がってさくらとかりんとともに体育館を後にする。

 避難を完了させてから子どもたちのことを蓮に任せ、先生たちを助けに行くという名目であおいとアイリスもさくらたちに合流しようと外に出る。すると、ラパンが二人の前に現れる。

「あなたたちは……ここまで。おいで」

 ラパンはネガボットを呼ぶ。その姿は、今までの無機質なものとは違いデフォルメされた豚の形をしていた。

 突進してくるネガボットに対してあおいとアイリスは振袖小町になって応戦、突進はアイリスが作った壁すらも破壊して二人は跳ね飛ばされてしまう。しかしその衝撃で体が飛びあがった際に、ネガボットの背中に穴のようなものをあおいは目撃する。

 イナリがプチッツァの計り知れない力を感じ取り、居場所を感じ取る。彼の後を追い、施設の階段を駆けていくと、着いた先は屋上であった。立ち入り禁止になっていてドアには施錠がされてあったため、さくらがドアをけ破って強行突破していく。到着した途端、エリーの疑問は氷解する。

「今ここはフェンスの増築をしていたはずでは!?」

 エリーが普段の落ち着いた物腰からは想像できないくらいに声を荒げた通り、屋上のフェンスは事故が起こったことをきっかけに増築工事がされているはずだった。しかし、今いる屋上にはその形跡すらなく、当時のままの状態で放置されていたのである。

 この疑問を、吐き捨てるようにプチッツァが回答する。

「あぁ、それなら……」

 プチッツァはフェンスの増築工事がなされていない理由を語り始めた。

 小町部を追う形でフリージアに到着したプチッツァは、郷愁を感じながら極力存在感を消しながら散策を開始していた。

 同じ頃、烏山は小町部に挨拶を済ませて施設長室に戻った後、椅子に座って机から通帳を出して高笑いしていた。

「ははは、いつ見ても笑いが止まらん。あの事故のおかげで前任者が飛ばされていい天下りになった。それに思わぬ金も入ったうえに暑苦しいプロレスラーじゃなくて因幡卯月ちゃんをここに呼べた……。死んだ小娘には悪いが怪我の功名、万々歳だ! こんなに楽しいことはない!!」

 ある時を境に預金額の桁が一気に上がった自分の通帳を見て、ほくそ笑む烏山。だが、悪いことはできないものである。

「……そういうことね」

 施設長室に殴り込みの如く乱暴に窓を開け、怒りをあらわにしたプチッツァが入ってくる。その顔を見た烏山はみるみる顔面が青くなっていく。

「わ、私は幽霊なんて信じないぞ、きっとそっくりさんかなんかだろう。それともさっきの部活のドッキリか?」

 首を横に振り、プチッツァは迫る。

「その腐った性根、思う存分使ってあげる!!」

 恐怖のあまり両手を挙げて無抵抗の意思を示した烏山を見下げ果てた目で睨むプチッツァは110番に通報する。その後振袖のカケラとネガボットの素体を投げつけたのである、

費用は適切な目的に使いましょう。

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