第拾漆幕の弐
人生には学校の勉強よりも大事なことがある。
宿敵2人が新たな力を手にしていたころ、小町部一同は伊吹神社に集合していた。その理由は、数日前にさかのぼる。
いざこざが発生はしたもののそれを解決して、高砂に招待されたシルビコットの試合を観戦した後のことであった。オリーブスタジアムのセンター席で勝利の余韻に浸る小町部に、エリーが声をかける。
「素晴らしい勝利でしたね」
この勝利を一番喜んでいるアイリスは満面の笑みを浮かべていた。
「おうよ! この調子で首位をそのままキープするっきゃないね! みんな、また一緒に行こうや!」
勝った試合の帰りは家に帰るまでユニフォームを脱がないのがこだわりのアイリスは、いまだに江戸っ子口調で話しており、それには一同苦笑していたがまた観戦には行きたいと思うくらいには試合にのめりこみ、歌詞を教えてもらいながら選手のテーマを一緒に歌うなど楽しい時間を過ごした。
「ところで、補習抜け出したらしいけど、いいの?」
あおいの素朴な疑問に、アイリスは胸を張って回答する。
「あのな、英語は勿論さくらやかりんが参加した数学も、勉強するのはいつだってできる。しかぁし! 今日の試合を生で観戦するのは今日しかできない!! ならどっちを選ぶかなんて……考えるまでもねぇだろ?」
理解できる側面はあれど、思い切ったことを思い切った考えで実行したアイリスの大胆さとクラブチーム愛に圧倒される一同。しかしこの名回答にわかりみを感じたかりんは、深くゆっくりとうなずいていた。
アイリス様だけでなく、皆様お喜びで何よりです。ところで……皆様に私からお願い申し上げたいことがございますが、よろしいでしょうか」
「エリーさん?」
帰りの準備をしていると、エリーが依頼をしてくる。部長であるさくらが返事をすると、エリーは依頼内容を話し始める。
アイリスが語っていた理論は私が高校時代に数学の補習を脱走して西武ドームまで野球を見に行った時からずっと持ち得ている持論です。




