第拾漆幕の壱
ここまで絡みがほとんどなかった二人が、巡り合う。
木、土に続き水の力を宿した羽根を体内に取り込んだプチッツァは、これら3つの能力を手にして自らに眠る力との相乗効果でどんどん力をつけていた。しかしこれに満足はせず、次の狙いを既に定めていた。
「一番ムカつくあいつにネガボットを倒させなきゃいけないけど、どうすりゃいいだろう……。そうだ」
思いついた戦法のキーパーソンを探しに行くと、主がまだ帰らない研究室で一心不乱に機械の配線を手当たり次第に引きちぎっており、研究室の機械たちはその刹那動作を停止するを繰り返していた。
「あ、あんた何してんの!?」
配線をすべてちぎり終えると切れた断面を二束にまとめ、それぞれを片手に握る。電気は彼の体に容赦なく流れていき、彼の叫び声が実験室にこだまする。こいつはそういう意味でも変態なのかと困惑するプチッツァだったが、まさかと思い研究室のブレーカーを確認すると、すべてオンになっていたものが次々と落ちていく。無論、廃研究所には他の仲間たちもいるため彼らは突然の停電とかすかに聞こえる叫びに戸惑う。
「……なんだ?」
一瞬で暗闇と化した研究室。静けさが続く中、刃の形をした光が浮かび上がる。それは動き出し、激しい音を発する。直後、停電が収まる。プチッツァの目の前には、右手に5本の細い光の刃を携えたティーガーと、爪痕のような傷が大きくつけられた机があった。
「これ、あんたがやったの……!?」
ティーガーは頷き、高らかに笑い声をあげる。
「これで、これでさくらと俺だけの世界が創れる……!!」
これまでただのヤンデレ変態男としか思っていなかった相手が、あと少しで手が届く自分の野望における第二の邪魔者になった瞬間であった。
生半可な決意ではいけないと痛感した彼女は、自室でこれまでの自分と決別するためには何が必要か、何をすべきか考えていた。そこに、ある人物の顔が浮かんでくる。
「……やっぱりそうだよね」
戸棚の上に飾られた写真を手に取り、未練を捨て去るために覚悟を決める。その写真はある大きな施設の前で撮影された年齢がバラバラの子どもたちの集合写真で、その最前列中央では今よりも数年前、高校生くらいの年齢と思われるエリーが笑顔のプチッツァと、彼女と同い年くらいの少女の間に挟まれて映っていた。
ヤンデレ変態男ことティーガーは完全に残念なイケメン枠。こう言う奴って意外と侮れないんだよな……。




