第拾陸幕の拾陸
小町部が楽しい時間を過ごしている裏で、三つの魂が闇に落ちた!
小町部がシルビコットの試合に白熱していたのと同じ頃。ネガボットからなんとか逃げ出せた石神、K2、北沢は人気のない裏路地に辿り着いていた。
「ここまでくりゃもう大丈夫だな」
「暇人の君たちと違って僕はこれから予備校に行かなきゃいけないんだ、失礼するよ」
K2が明らかに二人を見下した様子で踵を返して予備校に向かおうとしたとき、ドローンが彼の目の前に現れる。そんなものに構っている暇などないと無視するが、それでもついてくる姿に石神と北沢は後ろでくすくす笑っていた。
「な、何がおかしい!」
K2が声を荒げると、近くにあった木の上からチュイが飛び降りながら石神に、物陰からボヴィーニが北沢に向けてそれぞれネガボットの素体と振袖のカケラを投げつける。命中した素体と振袖のカケラは、以前K2に投げつけたものと同様に彼らの手に戻ってから素体だけが砕け散った。石神と北沢は何が起きたのかわからず呆然としていたが、K2は突然目の前に現れた顔見知りとその仲間に驚きを隠せなかった。
「……お前!」
「カルネロが君の分の力の下準備ができたって言ったから迎えに来たけど、類は友を呼ぶ、だね」
「はじめまして坊やたち、私はボヴィーニ。チュイちゃんの仲間よ。これからよろしく。そしてもう一人、私たちの仲間を紹介するわ」
ボヴィーニが取り出したタブレットに、カルネロの姿が映る。彼はどうやら遠方にいるようだ。
「京田征紀君、だったね。初めまして。私はカルネロ。チュイ達が属するオリエント・ゾディアックのメンバーだ」
自己紹介を済ませてから顔合わせとなった二人の名前を聞き、カルネロは話を続ける。
「チュイ、あれを。石神葦都君、京田征紀君、北沢藤彦君。試しにこれを持ってみてくれるかい」
チュイがしぶしぶ先ほど投げつけたものを含め振袖のカケラを1つずつ渡すと、それらは彼らの体に吸収されていった。この光景に、カルネロは思惑通りと言わんばかりに微笑む。
「それじゃ、私はもう一か所行くところがあるからこれで」
チュイにタブレットを渡してボヴィーニが去っていくと、タブレットに映るカルネロがK2に向けて話をする。
「君たちがこれから手にする力は鋭意制作中だ、京田君。君がこれから持つ力は……これだ」
そう言って取り出したのは、人間に近い形をしているが、随所に相違点が見られるうっすら緑色をした手のミイラであった。
中身がどうあれ老人を見捨てて自分だけ逃げるようなのは悪の組織にスカウトされておかしくないですね。




